◇脳脊髄液減少症:事故との関係認定、580万円の賠償命令−−全国で3例目
バイクにはねられたのが原因で脳脊髄(せきずい)液減少症などの後遺症が残ったとして、
北九州市小倉北区の主婦(48)が、運転していた男性に約6400万円の損害賠償を求めた
訴訟で、福岡地裁小倉支部が事故と減少症の因果関係を全面的に認め、男性に慰謝料など
約580万円の支払いを命じていたことが分かった。
事故と同症を結び付けた判決が明らかになったのは全国で3例目。
事故は98年7月に北九州市小倉北区で発生。自転車の主婦が信号のない交差点を横断中、
男性のバイクにはねられた。主婦は頭を強く打ち、通院を続けたが吐き気や腕のしびれなどの
症状が治らず、5年後の検査で髄液漏れが判明し、病院で脳脊髄液減少症と診断された。
裁判で男性側は「減少症の一般的症状である起立性の頭痛がなく、同症ではない。髄液漏れも
事故が原因とは特定できない」と反論していた。
昨年12月の判決で、増田隆久裁判官は「複数の症状があり、どこまでが脳脊髄液減少症に
よるものかは必ずしも明らかではない」と指摘し、損害を請求額の1割弱と認定したが、
「減少症は事故が原因。主婦は事故直後に頭痛を訴えており、減少症による起立性頭痛で
あった可能性は否定できない」と因果関係を認めた。
双方とも判決を不服として福岡高裁に控訴した。
【宮本尚慶】
毎日新聞
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/wadai/news/20070206ddm041040147000c.html