★民主党 菅氏で首都決戦を挑め
・万年業界2位の企業が、トップ企業を抜き去る――。その夢をかなえるには必死の努力が必要だ。
では、夏の参院選挙で与野党逆転をめざす民主党が、そんな研鑽(けんさん)を積んでいるか。
はなはだ心もとない。
まず、人材はどうか。市場(選挙)で顧客(有権者)に買って(投票)もらえるかどうか、いわば
商品力にあたる。
きのうまで開かれた定期党大会は、参院選と春の統一地方選の候補をお披露目する決起集会
でもあるはずだ。だが、それにしては寂しい顔見せだった。候補者を決められない「空白区」が
多いだけではない。落選した元衆院議員のくら替え出馬が目立つ。比例区は相変わらず労組OBが多い。
知事選では21日投票の山梨、愛媛、宮崎の3知事選はすべて不戦敗だが、春の知事選も東京や
福岡を含め、候補擁立が難航している。
新しい魅力的な人材を発掘し、支持層を広げようという迫力が感じられない。現職の国会議員が
知事選に立つケースが大半で、これではシェア拡大は夢のまた夢というものだ。
もうひとつの商品力、政策の方も今のところパンチに欠ける。
3年前の参院選では、年金の財源として消費税を3%引き上げるという負担増を打ち出し、
「逃げない民主党」と評価されて躍進につながった。だが、この大会ではこれを引っ込め、現行の
税率を維持する内容の基本政策を決めた。
代わりに「格差是正」を次の目玉商品として売り出す予定だが、中身はまだはっきりしない。与党は
消費増税の議論を参院選後に先送りする一方で、成長重視路線という新商品を売り出す構えだ。
これに太刀打ちするのは容易ではない。
与党の失策を追及する攻撃力も、このところ湿りがちだ。タウンミーティングの「やらせ質問」、さらに
事務所費をめぐる閣僚らの不適切経理は、ともにメディアや他の野党が発掘した疑惑である。
野党第1党の民主党の調査力、情報力はどこへ行ったのか。偽メール問題による萎縮(いしゅく)が
まだ続いているのか。どうにも、今の民主党は頼りない。党大会で地方代議員らから不満や疑問の声が
上がったのは当然のことだ。
トップ企業の牙城(がじょう)を崩すには、ヒット商品の爆発力で一点突破する手がある。民主党で言えば、
東京都知事選で背水の陣を敷き、「与党VS.民主党」の決戦を演出することだろう。
たとえば、知名度と実績のある菅直人代表代行を立て、石原都政と対決する。都知事の座を奪うことは
もとより、首都決戦に正面から挑む党の姿勢が全国の有権者への強いメッセージとなり、選挙戦全体を
引き締めるのではないか。
事務所費疑惑でも、問題が指摘される小沢代表や松本剛明政調会長らの会計帳簿や領収書を率先して
開示し、与党に迫る。そんな必死の姿勢こそが、2番手企業の躍進には欠かせないのだ。
ソース
http://www.asahi.com/paper/editorial20070117.html