ニューヨークの地下鉄で線路上に転落した19歳の専門学校生を50歳の男性が
わが身の危険を顧みずに救出した。男性は一躍、「地下鉄のスーパーマン」と呼ばれるようになり、
その無私の行為は全米で反響を巻き起こした。この出来事が米国人の心を揺さぶった背景には、
リスクがあっても挑戦するという建国以来の精神が体現されていたからだとの見方が上がっている。(ニューヨーク 長戸雅子)
今月2日午後のこと。マンハッタンの地下鉄1号線137番街シティー・カレッジ駅で
2人の娘と電車を待っていたハーレム在住の建設作業員、ウェズリー・オートリーさん(50)は、
映画専門学校生、キャメロン・ホロピーターさん(19)が発作を起こして線路に転落するのを目撃した。
電車到着を告げる信号がまさに点灯しだしている。とっさに、オートリーさんは2人の娘を
ホームにいた女性に預けて、線路に飛び降りた。レールとレールの間のすきまに
ホロピーターさんを押し込め、自らもその上に覆いかぶさった。
運転手は急ブレーキをかけ、車両は2人の真上を通過して、停車した。と、車両の下から声が上がる。
「娘たちに伝えてくれ。お父さんは無事だって」
車体とオートリーさんとのすき間はわずか5センチ。被っていたブルーのニットキャップには電車の油による黒いしみができていた。
一夜明けた3日、オートリーさんのもとには称賛とプレゼントが殺到した。ホロピーターさんが通う
ニューヨーク・フィルム・アカデミーはオートリーさんの子供にと2500ドルの奨学金を、
不動産王ドナルド・トランプ氏は1万ドルの小切手を贈呈、ウォルト・ディズニー社はテーマパークへの無料招待券を送った。
4日、ブルームバーグ・ニューヨーク市長がオートリーさんに市民への最高の勲章、
「ブロンズ・メダリオン」を授与、「ハーレムのヒーロー」とたたえた。授与式で、オートリーさんは
「助けを必要としている人に手を貸しただけ。特別なことはていない。自分が正しいと思ったことをやっただけ」と控えめだった。
オートリーさんへの称賛はその後もやまず、感動したとの投書が全米の各紙に寄せられているという。
ニューヨーク大学のクレイグ・カルフーン教授(社会学)は
「自助と互助を基盤としてきた米社会が公より個人の利益を優先する利己的な社会になっている、
と多くの人が感じているときに、見知らぬ人をとっさに助ける力をまだ米国人が持っているということを示してくれた」と、反響の大きさの背景を分析する。
今回の救出劇には一歩、誤れば惨劇になりかねない危険性もあった。米国内にはしかし、無謀だったとの論評はないようにみえる。
同教授はその点について、「米国は危険や失敗を覚悟した挑戦を認める社会。
その覚悟が他人の命を救うためだったことにみな感動した」と説明する。
カリフォルニア州立大リバーサイド校のトビー・ミラー教授(社会学)も
「真の英雄的行為はそうそうあるものではない。無意識の、愛にあふれた行為だった」と手放しで評価している。
産経新聞1月18日
ソース
http://www.sankei.co.jp/kokusai/usa/070118/usa070118001.htm . . : : : :: : : :: : ::: :: : :::: :: ::: ::: ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
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