不二家が消費・賞味期限切れの原料使用していた問題をめぐり、同社製品の販売を
休止する動きが16日、さらに広がった。一部を除き店頭から製品が姿を消しつつあり、
主力のチョコレートやキャンデーなどの加工菓子の大幅な売り上げダウンにより、
同社の自主再建が困難になる懸念が高まっている。第2位株主の森永製菓が支援を検討しているほか、
老舗のブランド力や保有資産を狙い投資ファンドなどが買収に乗り出すとの観測もあり、業界再編の火種となる可能性が出てきた。
セブン&アイ・ホールディングスやイオン、西友、ダイエーなどの大手が16日までに商品撤去を終えたほか、
16日には、新たにファミリーマートやユニー、ライフコーポレーション、いなげや、サミットなども撤去に乗り出した。
不二家の2006年3月期の連結売上高848億円のうち、フランチャイズチェーンを中心に
販売されている洋菓子は約32%。これに対し、撤去された加工菓子類は約50%を占め、
唯一の黒字事業だった。かき入れ時のバレンタインデー商戦がスタートしたばかりで、その影響は計り知れない。
また、同社は4月に業績不振が続く外食事業をみずほ証券系ファンドと共同で設立する会社に
譲渡する計画を進めていたが、計画の見直しは必至。同社が描く自主再建路線の修正に追い込まれる可能性も指摘されている。
集団食中毒事件を起こした雪印乳業も、牛乳事業の切り離しなどで事実上解体されており、
「食品会社が安全をおろそかにしたツケは、簡単に払拭(ふっしょく)できない」(大手食品メーカー幹部)との声は多い。
このため、株式市場などでは、「問題が長期化すれば、銀座本社の土地売却にとどまらず、
事業の切り売りによる事実上の解体に向かわざるを得ない」(大手証券会社)との見方も出ている。
一方で、森永製菓との業務資本提携の強化も浮上している。森永は、不二家が1985年に
仕手集団「ビデオセラー」グループから株の買い占めを受けたのを契機に、「安定株主対策として、
株を相互に持ち持ち合うことになった」(森永広報・IR部)。
森永の首脳も、支援要請があった場合は、前向きに検討していく姿勢を表明しており、
「森永による子会社化を含めた再編に発展する可能性もある」(外国人アナリスト)との見方が広がっている。
また、本社などの優良資産に加え、明治時代から続く老舗で、「ペコちゃん」や「ミルキー」などの
強いブランドを持つだけに、「再生は十分に可能」と判断した投資ファンドなどが買収に乗り出す可能性もありそうだ。
フジサンケイビジネスアイ1月17日
ソース
http://www.business-i.jp/news/sou-page/news/200701170027a.nwc