「2ch.net」ドメインが仮差し押さえの対象になり、近く「2ちゃんねる」(2ch)の
閉鎖もありうる、と報道されたが、ドメインの差し押さえは実際に可能なのだろうか、
また、差し押さえられた事例は過去にあったのだろうか。
民事訴訟法・サイバー法に詳しい南山大学法科大学院の町村泰貴教授に聞いた。
ドメイン差し押さえが可能かどうかと言われると、法理論的な可能性の問題であれば
YESでしょうが、実際上はさまざまな問題があり、現実的ではないでしょう。
今回のケースがドメイン名の話で、ドメインが表象しているサイトの話ではないという
前提で考えます。
ドメイン名というのはレジストリ(2ch.netであればVeriSign)と登録者(2ch.netであれば、
西村さんが代表者になっているMonster.Inc)との間の、一定の文字列の登録と
独占使用権の付与を内容とする契約に基づいています。
これを差し押さえるという場合、2ch.netをドメイン名として使用する権利を差し押さえるわけで、
購入する人がいれば売れるという意味で財産的価値もありますし、理論的には可能です。
日本法で言うなら、民事執行法167条に基づく手続にのります。
しかし、現実には難しいというのは、まずVeriSignはアメリカの会社ですから、
日本の裁判所に強制執行の管轄権があるかどうかが怪しいです。
仮に日本の裁判所に管轄権があったとしても、VeriSignに差押命令を
送達しなければなりませんから、これは困難で長時間を要します。
日米の司法共助条約にのっとって外務省、在外公館、外国機関を
通じるということになります。
仮にアメリカの裁判所に管轄権があったとして、今回のケースでは、
仮処分の間接強制制裁金を執行するということのようなので、
その債権の効力がアメリカで承認される必要があります。
それら手続面をクリアして、ドメイン名を差し押さえて差押債権者や第三者が
ドメイン名登録者たる地位についたとしても、2ちゃんねるの顧客吸引力が
得られるわけではないですから、財産的な価値はあまりないでしょう。
さて、ドメイン名を差し押さえて換価するという事例は、過去にはありません。
ドメイン名の使用差し止めを命じる仮処分なら、外国では例がありますが、
ドメイン名の財産的価値を執行の対象とする例は、私の知る限り、ありません。
ITmedia 2007年01月15日16時51分
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0701/15/news094.html ■関連スレ
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