極悪囚に年末の仮釈放:太田君殺害犯などに恩典
一九九七年八月、聖市でスーパーを経営している太田まさたかさん(五〇)の子息イーヴェス君(当時八歳)が、
同スーパーでアルバイトの警備員をしていた軍警に誘拐され殺害された。誘拐・殺害犯のダンタスとソウザは
逮捕され、四十三年と二か月の禁固刑を宣告されたが、模範囚と認められ今年から年五回の期限付き仮釈放を
許されている。
母の日と父の日、復活祭、クリスマスと年末年始がそれで、年末は二十日から二週間、娑婆で自由な生活が
満喫できる。現在、聖州の軍刑務所には二百四十人の元軍籍者が受刑中だが、うち四十六人が仮釈放の
恩典が受けられ、他の一般刑務所の囚人一万二千人と共にクリスマスと年末年始を家族と共に楽しめる。
それを知った事業家のまさたかさんは「ブラジルには正義がない。被害者の私が年末も休まず働いているのに、
加害者の彼らが年末年始を家族と共に二週間も楽しめる」とふんまんやる方ない。まさたかさんは一九九九年、
自分の息子の加害者のように残酷な破廉恥罪を犯した罪人を、無期禁固のような終身刑に科する案を議会に
提出するための署名運動を全国で起こし二百五十万人の署名を集めている。しかし結果は芳しくなく、まさたか
さんは「自分の義務は果たした。不幸なことに我々の代表は自分の給与のベースアップのみを考えている」と嘆息。
イーヴェンス君を誘拐、殺害した犯人は上述の軍警二人のほかスーパーの元警備員もおり、三人は聖市の
刑事裁判所で特典なしの禁固刑を科せられたが、昨年十月には早くも特典を獲得、昼は刑務所の外で労働、
夜は監房で休むという模範囚のみに与えられる恩典を得ている。その結果、凶悪犯の三人には昨年二回、
今年は五回、仮釈放の恩典が与えられ、今後も年五回、家族とのかいごうが可能という。
聖州刑務所管理局長によると、昨年は一万二千百三十五人の模範囚がクリスマスと年末年始に仮釈放されたが、
うち八・五%に当たる一千三十六人が刑務所に帰らず脱獄犯として指名手配された。今年のクリスマスと年末年始
には軍の刑務所から四十六人、一般刑務所から一万二千人が期限付きで仮釈放されたが、うち一〇%内外が
刑務所に戻らないと推測され、その成り行きが注目されている。(十九日付けJT紙より)
(サンパウロ新聞 22/12/2006)
http://www.spshimbun.com.br/conteudo_area.cfm?DA_N_ID=12