★「クマさん見た〜い」
前橋るなぱあく オリの中に小屋設置
1回10円の乗り物で知られる前橋市中央児童遊園「るなぱあく」に、1頭の雌のツキノワグマが
飼育されている。年老いてあまり人前に姿を見せず、オリの奥にいるだけ。そんなクマを一目でも
訪れた子どもたちに見せたいと、佐藤恭一園長(61)がオリの中の見えやすい場所にクマの寝床
となる小屋を作った。
■ 周辺うろうろ、子どもら大はしゃぎ ■
クマの名前は「ムーン」。同市公園管理事務所によると、少なくとも30年前から同園で飼われており、
人間なら90歳を超えているという。朝8時半ごろにリンゴやおからを食べた後はほとんど動かず、
来園者から見えないコンクリートのオリの奥でじっとしている。
「クマさん、どこにもいないよ。つまんない」――。オリの前に立った子どもたちが漏らす言葉に、
佐藤園長が独自に考案したのがオリの中の小屋。縦横90センチ、高さ60センチ。入り口などを
除いて側面を木材で囲い、上部などには、見えやすいように透明のアクリル板を付けた。
寒さ対策として床には落ち葉も敷き詰め、鉄格子から約1メートル離れたオリのほぼ中央に14日、設置した。
初日、ムーンは小屋が仕上がると間もなく現れ、小屋の側面をかじったり、耳の後ろをこすりつけて
マーキングしたりした。佐藤園長は「こんなに動いたのは初めて」と予想以上の反応に驚き、子ども
たちも「クマが出てきた。大きい」などと大はしゃぎした。
結局、16日までの3日間は小屋の中に一度も入らず、中の落ち葉を手でかき集め、いつもの寝床
に持っていくだけだったが、佐藤園長は「全く姿を見せなかったのが、人前に出てきたのだから、
ひとまず成功。入り口の大きさや小屋の向きを変えるなど、今後も挑戦していきたい」と話している。
(2006年12月17日 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/gunma/news001.htm