カレー風味野菜スープ、炊き込みご飯‐。宮崎市高岡町の道の駅内にある食堂
「味菜給食室」の学校給食ランチが人気を呼んでいる。塩分控えめ、栄養バラ
ンス満点の給食は、元給食センター勤務の女性らがじっくりと仕込んだ「優しく
て懐かしい味」。代表の下野園むつ子さん(63)は「病気を防ぐには食生活を
変えること。給食で食の大切さに触れてほしい」と話している。
給食室は3年前、道の駅高岡ビタミン館内にオープン。約30年間、同町内の
給食センターや老人ホームで給食を作っていた下野園さんが「給食を一般の人に
も広めたい」と、退職からわずか2カ月で長年の夢を実現させた。今では、県外
からも「昔の味」を求めて訪れる客が増えているという。
味菜給食は牛乳付きで1食500円、メニューは日替わり。ある日の献立は、
高岡産の丸麦を混ぜた麦飯、エビフライとキャベツに春雨、野菜スープ。麦飯
の柔らかさが口に広がり、すぐ満腹になる。弁当も配達しており、現在は1日
平均120食の注文がある。
下野園さんの自宅には、千種以上のレシピを集めたファイルが十数冊ある。毎月、
ファイルを眺めては、献立を立てているという。
先割れスプーンや、樹脂でできた食器。「給食をそっくりそのまま再現」(同給食室)
した味菜給食には常連のファンも多い。
若い女性グループは小学生用の小さいお盆に「懐かしいー」と歓声。「あんた
が大きくなったっちゃが」と返す下野園さん。食堂内には同じ給食センター経験者
の女性従業員の笑顔があふれる。週末は「こんな料理を食べているんだ」と親子
で給食を楽しむ家族連れでにぎわう。
一方で「コンビニなどの弁当がたくさん売れるのはおかしい。生活習慣病が増え
るのも当然」と現代の食生活を危(き)惧(ぐ)する。下野園さんは従業員らと
漬けた梅干しを給食に添えながら言う。「懐かしさと同時に体にもよい給食が一番。
体が続く限り給食を作ります」。
=2006/12/03付 西日本新聞朝刊=
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/local/miyazaki/20061203/20061203_001.shtml 画像:味菜給食室の学校給食ランチ。麦飯や野菜スープなど体に優しいメニューが人気を呼んでいる
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