日本一に輝いた北海道日本ハムファイターズの優勝パレードが18日、札幌市であった。
東京ドームを後にして3年目。今季は主催試合の観客数伸び率でも12球団でトップになった。
球団が掲げた「地域密着」が道民の心をとらえ、熱烈な応援が選手たちを後押しした。
パレードはJR札幌駅南口からの1.3キロ。沿道は計約14万3000人のファンで
埋まった。選手たちはバスの上から手を振り、歓声と拍手、紙吹雪の中を進んだ。引退した
新庄剛志選手は1人だけ私服姿で、身につけていたブレスレットや手袋などを沿道に投げて贈り、
最後までファンにサービスした。
日本ハムが今季主催した68試合の観客は計160万3541人。昨季より24万人近く増え、
観客が跳びはねる応援が札幌ドームのスタンドを揺らした。
来季の目標は今季並みの160万人程度。だが新庄選手が引退し、パ・リーグの最優秀選手
になった小笠原道大選手がフリーエージェント宣言した。「日本ハムファイターズ応援作戦会議」
メンバーの信太(しだ)順子さん(56)は「もし弱くなれば、ファンは試合に足を運ばなく
なります。ファンサービスはもちろんですが、来季は選手一人ひとりが自分の仕事をしてほしい」と望む。
日本ハムの札幌移転が正式決定したのは02年7月。首都圏には6球団がひしめき、日本ハムは人気、
成績ともに低迷していた。観客は年々減り、本拠だった東京ドームの使用料も経営の負担になっていた。
球団は「地域密着」を掲げ、小嶋武士・オーナー代行は「ファンサービスをしない選手
はいらない」と公言した。
選手たちはシーズン中にも小学校を訪ね、子供たちとキャッチボールした。03年に始めた
野球教室は今年10月末までに延べ233カ所を数える。
移転元年の04年。日本ハムはロッテとの激烈な3位争いを制してプレーオフに進んだ。
第1ステージで西武との総力戦の末に1勝2敗で敗れたが、一投一打にかける戦いぶりを目に
した道民はプロ野球のおもしろさを改めて知り、地元のチームという意識も根付いていく。
札幌ドームでは「新庄パフォーマンス」の予告など派手な演出の一方、チームのマスコット
「B・B」が広大な道内の市町村に足を運んで撮影したPR映像を試合前にスクリーンで3〜4分放映した。
百貨店やスーパー、商店街は「日本ハム景気」に沸く。
札幌市東区の鉄東中央商店街振興会と元町通り商店街(計約50店)は空洞化が進み、
空き店舗が5店あった。
札幌ドームからは離れているが、球団の屋内練習場が近くにできることになり、03年、
商店街の通りに「ファイターズ通り」と愛称を付けた。応援団をつくって応援したり催しを開いたりした。
ファイターズ通りは昨年から初夏の人気イベント「YOSAKOIソーラン」の会場にもなった。
空き店舗には飲食店などが入り、すべて埋まった。
百貨店「丸井今井」札幌本店は10月末に5日間の日本一記念セールを行い、同時期の売り上げ、
来店客がともに例年より3割近く増えた。民間シンクタンク「北海道未来総合研究所」は、今年
道内であった全64試合とパレードの経済効果を計237億円と試算した。
asahi.com 2006年11月18日13時18分
http://www.asahi.com/sports/update/1118/121.html 画像:優勝パレードのコースには大勢のファンが集まった=18日午前11時34分、札幌市中央区で
http://www.asahi.com/sports/update/1118/image/TKY200611180199.jpg 手を振って集まったファンにこたえる日本ハムの選手たち=18日午前11時28分、札幌市中央区で
http://www.asahi.com/sports/update/1118/image/TKY200611180210.jpg 優勝パレード前のオープニングセレモニーに出た選手たち=18日午前10時40分、札幌市中央区で
http://www.asahi.com/sports/update/1118/image/TKY200611180202.jpg