上場企業元監査役が2億円所得隠し、東京国税局が告発
複数の上場企業の監査役を務めた経営コンサルタントの日納(ひのう)邦之氏(58)
が約2億円の所得を隠し、所得税約四千数百万円を免れていたとして、東京国税局から
所得税法違反(脱税)の疑いで東京地検に告発されていたことが、関係者の話で分か
った。
日納元監査役は、コンサルタント活動で得たセミナーの講演料や、コンサルタント
先に貸し付けて得た金利などを所得から除外していた。
日納元監査役は、東証1部上場のゲーム配信会社「ドワンゴ」や、新興向けの大阪証
券取引所ヘラクレス上場の「シーエスロジネット」「サイネックス」で、非常勤の監査
役を務めていたが、昨年9月末、「一身上の都合」を理由にいずれも辞任している。
関係者によると、日納元監査役は、大証で新規上場企業の審査を担当した経歴を生か
し、上場企業の監査役を務めたほか、新規上場に詳しい経営コンサルタントとして新興
企業の経営を指導したり、大学や経済団体などが主催するセミナーで講師を務めたりし
ていた。
また、コンサルタント先に事業資金として個人の資金を貸し付けることでも収入を
得ていた。
監査役としての報酬は、企業側の源泉徴収によって申告されていたが、コンサルタント
活動に伴う収入や貸し付けで得た金利などは、所得から除外していたという。不正に
隠した所得は、2004年までの2年間で計約2億円に上り、日納元監査役は、隠した所得から
コンサルタント先に貸し付けることを繰り返していたとみられる。
ドワンゴなど上場企業の3社はいずれも、「日納元監査役から借金していた事実はない」
としている。
(2006年10月17日14時41分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20061017i507.htm