上達のカギ:片腕より両腕で 運動、楽器など
上達のカギは「バランス」? 運動や楽器演奏で同時に両腕を動かすことを学習する場合、
片腕ずつ練習してもさほど上達が見込めないことを、東京大とカナダ・クイーンズ大の
共同チームが実験で見つけた。スポーツや音楽の練習のほか、まひした腕のリハビリを
効果的に進めるヒントになりそうだ。米科学誌「ネイチャー・ニューロサイエンス」電子版に
9日発表した。
東京大大学院教育学研究科の野崎大地・助教授(身体教育科学)らは、左腕に一定の
力を加えて動かしづらくしたうえで、動く標的に左腕、あるいは両腕を伸ばして触る実験を
繰り返し、効果的な学習の手法を調べた。
その結果、左腕だけを使い標的を触れるようになった後、右腕も同時に動かすと、
左腕の成績は7割まで落ちた。順番を逆にして、両腕を動かしながら左腕で標的に
触れるようになった後、左腕だけを使うと、同様に7割の能力しか発揮できなかった。
この傾向は利き腕に関係なく見られた。
研究チームは、片腕だけを動かして覚える時と、両腕を動かしながら覚える時の
脳の働き方が違うと推定。片腕ずつ技術を身に着けていく練習では100%の力を
発揮できない可能性がある、と分析した。
野崎助教授は「両腕をバランスよく使うことが重要。片腕ずつ練習するにしても、
もう片方の腕を動かしているイメージを常に持ち続けると効果的だろう」と話す。
毎日新聞 【元村有希子】2006年10月9日 2時00分
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/wadai/news/20061009k0000m040144000c.html