虐待疑いの老人ホーム 皮膚感染症まん延
鹿県調べ/職員、平手打ち認める
鹿児島市四元町の介護型有料老人ホーム「シルバーパーク芳草園」(宮崎尚園長、入居者63人)
の虐待疑惑で、鹿児島県が7月、同園を立ち入り調査した際、皮膚感染症の疥癬(かいせん)にかか
った入居者が約20人に上っていたことが5日分かった。県は患者の多さを重視。施設内で感染が広
がり、適切な衛生管理を義務付けた施設運営基準に違反した可能性があるとみて詳しく調べている。
県介護保険課によると、調査に伴う県の聴取に対し、男性職員の1人が入居者の尻を平手打ちした
ことを認めていたことも新たに判明した。同職員は、かゆさで患部をかきむしる入居者を制止するた
めと説明。日時や場所、対象者の数は特定できていないが、職員は複数回たたいたことを証言したと
いう。
県は疥癬のほかに水虫やたむしにかかった入居者も確認。調査終了後、園に対し「衛生面がひど
い」と園内の清掃が不十分であることを注意。口頭で衛生状態の早急な改善を求めた。
県は国が定めた特定施設入所者生活介護事業所の運営基準にある、感染症の発生、まん延の防
止に努める項目に抵触する恐れがあるとみている。
疥癬患者の発生理由について、園は4日、南日本新聞の取材に対し、「ほとんどが入居前からの感
染」と園内での感染拡大を否定。「防止策も取っている」と強調していた。
園は5日の取材にも入居者への暴行は否定。県の調査で職員が暴行を認めたことについて、前野
博文事務長は「知らなかった。あらためて、全職員に暴力の有無をただしたい」と話した。
■疥癬
ダニの一種であるヒゼンダニが皮膚に寄生する皮膚感染症。不潔な環境で発生しやすく、肌の接
触、衣類やシーツを介して広がる。腹部や胸部、大腿の内側などに激しいかゆみが出る。感染力が強
く集団発生しやすいため、国の「高齢者介護施設における感染対策マニュアル」に対処法が記載され
ている。感染防止には手袋着用やせっけんでの手洗いなど衛生管理の徹底が必要。治療は医療機関
で処方される軟こうの塗布などが有効。熱に弱く、洗濯に湯を使い駆除する。
ソース
http://373news.com/2000picup/2006/09/picup_20060906_8.htm