全国トップの出荷額を誇る群馬産コンニャクイモの栽培で、県は農薬を半減できる
新技術「麦の被覆(ひふく)栽培」を開発した。種イモを植えた畑全体に麦をまくという
シンプルな方法。成長とともにコンニャクと麦の根が絡み合うことで、根腐病を引き
起こす菌の繁殖が抑えられるという。今年度は県内6カ所で試験的に栽培しており、
10〜12月に迎える収穫の結果をみたうえで、来年から県内農家への普及に乗り出す。
開発したのは県農業技術センター。カンピョウとネギを同じ畑で育てると根腐病が
発生しにくくなることを突き止めた栃木県の例を参考に、平成7年から実験に着手。
コンニャクイモと麦の組み合わせで根腐病の発生が抑えられることが分かった。
さらに、ライ麦などイネ科作物と輪作したり、細かく砕いたイネ科作物の茎や葉を
コンニャクイモ生育中に土に混ぜることで多様の微生物が定着することも分かり、
根腐病菌が繁殖しにくい土壌に改良できることも実証した。
新技術は、麦の被覆栽培と輪作などを組み合わせた方法。農薬量は従来の栽培
方法の半分程度に減らすことができ、肥料費も30%程度に減らせるメリットがある。
従来の根腐病対策は、ビニールシートで覆った畑の土に農薬を注入する方法が
一般的。土中で発生するガスで根腐病菌を殺す方法だが、農薬使用への消費者の
不安も高まっており、県は新技術への転換を急いでいた。
県は現在、富岡市や安中市、昭和村などに実験用の圃場(ほじょう)計60アール
を設置し、農家の協力を得て新技術でコンニャクイモを栽培中だ。県農政課普及
指導室は「収量や根腐病の発生状況などを精査、検討したうえで全県に普及させ
たい」としている。
(09/03 08:04)
http://www.sankei.co.jp/local/gunma/060903/gnm003.htm