社保庁、第三者機関で処分者を審査
≪新組織移行で厳しく≫
厚生労働省は2日、年金情報の「のぞき見」(業務目的外閲覧)や国民年金保険料不正免除な
どの不祥事で処分された社会保険庁職員の年金新組織への移行の是非をチェックする第三者
機関を設置する方針を固めた。厚生労働相の下に置かれ、法律家や民間の人事評価のプロな
どで構成。平成19年度の発足をめざす。不正行為で処分されていても、社保庁や厚労省の判
断で職員の新組織への移行を認めないのは法律上難しいため、第三者機関の判断を加え、厳
しく臨むことにした。
社保庁は20年10月に解体され、新組織「ねんきん事業機構」に改められる。新組織の職員は、
年金業務に精通した社保庁職員の大半を移行させる。その際、各職員に目標を立てさせて達成
度を評価し、「成果を上げれば、処分によるマイナス評価も是正される」(村瀬清司社保庁長官)と
の考えだった。
しかし、その後の調査で、「のぞき見」事件と不正免除の両方で処分を受けた職員が198人に
上っていたことが判明、職員の法令順守意識の低さが改めて浮き彫りになった。
これを受けて、与党を中心に「処分者をそのまま新組織に移すのは許されない」(自民党中堅)
との声が一気に強まった。さらに「勤務態度が改まったかどうかの判断基準も明確ではない」「身
内による評価は甘くなる」などの指摘まで出てきた。
そこで、第三者機関が社保庁による「該当職員の移行が適切かどうか」の評価を精査し、不適
切と判断すれば、差し戻して再検討を求める。
「のぞき見」や不正免除で処分された社保庁職員は約4600人。このうち、実際に第三者機関
による再評価対象となるのは、両方で処分された198人、問題発覚後も、くり返し「のぞき見」を
続けていた悪質なケースになるとみられる。
厚労省は、悪質者については、国家公務員法の「分限免職」処分を適用して新組織に採用しな
い方針を示していたが、分限免職は過去にほとんど例がない。第三者機関設置の背景には、「分
限免職適用のハードルが高すぎる」(厚労省幹部)という現実もあるようだ。
(09/03 02:04)
ソース
http://www.sankei.co.jp/news/060903/sei003.htm