水産大手のマルハは、飼料メーカーの林兼産業(山口県下関市)と共同で、養殖マグ
ロ向けの配合飼料を開発した。世界的な需要の増大を受け、マグロの価格は高騰中。
飼料開発は、生産者のコスト競争力を高めるうえ、栄養分の配合次第で“究極のマグ
ロ”作りも可能との期待が高まっている。
マグロの養殖にあたっては、「口の大きさに合うエサしか食べない」(草野孝・マルハ増
養殖事業部長)との性質から、成長に従ってイワシ、サバ、イカなどエサの大きさを変
えていく。こうした手間暇やコストから、配合飼料の開発が求められていた。
今回開発された飼料は、天然素材の膜で包まれたソーセージ状とし、直径15〜40ミリ、
長さ50〜300ミリの間で大きさの調節ができる。膜の素材には、マグロが消化できて、
水中で破れにくいことを重視した。
また、膜で包めばビタミンなど栄養分の配合も容易だ。栄養分の配合次第でマグロの脂
の乗り具合を調整し、すし用や刺し身用など微妙に味を変えられ、「理論上は今までより
ずっとおいしいマグロを育てられる」(同)という。霜降り牛肉の「松阪牛」のように、日本人
が最もおいしく感じる最高級の大トロなど“究極のマグロ”を育成できるかもしれない。
肝心の飼料の中身は、魚を煮た後に圧搾などしてつくる魚粉と魚油。細菌が繁殖しにくい
水分構成を実現し、常温で流通できるようにしたのが大きな特徴だ。
3月に特許を取得し、奄美大島(鹿児島県)の養殖場で試験導入を実施中。全国7カ所あ
るマルハグループの養殖場に順次取り入れ、3年後に10億円の売り上げを目指す。将来
的には外部への販売も視野に入れる。
BSE(牛海綿状脳症)や鳥インフルエンザなど食肉不信と健康志向の高まりを受け、ツナ
缶などマグロ需要は世界的に拡大を続けているが、資源保護による漁獲制限などで供給
量は頭打ちだ。高品質のマグロを安定的に得られる養殖への注目は集まるが、エサとなる
魚介類全体の価格も上昇傾向だ。輸入水産物とのコスト競争などから、配合飼料の開発
に期待が高まっていた。
(08/27 01:44)
ソース Sankei Web:
http://www.sankei.co.jp/news/060827/kei010.htm