小金井市のホームページ(HP)で今春から始まった「動画で見る文化財」のコーナーが、「手
法が斬新」「映像が面白い」などと人気を呼んでいる。作成者は、市内の専門学校で映像制作
を学ぶ男子学生。動画制作者を探していた市と、作品発表の場を求めていた学生の思いが合
致した結果、実現したコーナーで、HPを運営する生涯学習課は「将来的には広く市民に作品
を呼びかける仕組みを作りたい」としている。
制作したのは、東京工学院専門学校メディア文学科4年の吉村さん(21)。現在、ディレクタ
ーやテレビカメラマンの養成コースで学んでいる。
市のHPにかかわるようになったのは、昨年夏、市内の史跡に興味を持っていた吉村さんが、
資料を探すため生涯学習課を訪ねたことがきっかけ。「史跡を映像に残したい」という吉村さん
に、ちょうどHPの動画の作り手がいないことで悩んでいた同課が、「ついでに制作を手伝って
みないか」と誘った。
初仕事は、昔、農村で共同購入し、祝儀などに使った什器(じゅうき)「講椀(こうわん)」を紹介
する作品(3分46秒)。今年3月、市内の民家で講椀を蔵出しするという情報を得ると、さっそく
現場を訪れて取材。音と映像を別々に編集し、取材で撮った関係者の話を蔵出し作業中の映
像に重ねてナレーション代わりにするなど工夫を凝らした。
次作が、江戸時代から続く「名勝小金井桜」を紹介する作品(2分56秒)。当初の企画では市
文化財センターの展示紹介だけだったが、吉村さんは「桜の現状を少しでも伝えたい」と、市民
団体の桜の保存活動にも同行し、取材した。
今年4月から作品が流れ始めると、生涯学習課には「新しい試み」などの反響が寄せられ始
めた。同課も「予想以上の出来栄え」と喜ぶ。
現在進めている第3弾は、市内の陸軍第一技術研究所跡で、陸軍に土地を強制収用された
市民や軍関係者からのインタビューを集めたものだ。公開は9月下旬を予定している。吉村さ
んは「自分の映像が多くの人に見てもらえるのはうれしい。今後もテンポ良く、分かりやすい作
品を紹介していきたい」と夢を膨らませている。
「動画で見る文化財」は、市の教育委員会HP(
http://www.city.koganei.lg.jp/kyoiku/index. html)で公開されている。
(2006年8月24日 読売新聞)
ソース
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/tokyo23/news001.htm