【社会】厚労省の精神病棟転用計画、障害者団体は強く反発

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1ミス・たわし(060918)φ ★
 精神科病院の入院患者を減らすため、一部の病棟を「退院支援施
設」に変える計画を厚生労働省が打ち出した。2〜3年入所して生活
訓練を行う施設とされるが、居室は病棟並みの4人部屋で、地域生
活へ移れる保証はない。精神障害者団体は「名目だけ入院患者が
減っても、本当の退院にならない。スタッフの手薄な施設に変えて、
医療費を減らすだけだ」と反発、撤回を求めている。

 日本の精神病床の入院患者は約32万人。人口比でも絶対数でも
世界一多く、病院のベッドの約4分の1を占める。うち7万2000人は、
行き場がないため退院できない「社会的入院」とされる。

 その解消手段の一つとして、厚労省が審議会にも諮らずに4月末
に突然、自治体に示したのが「退院支援施設」。入院ベッドを転換し
て20〜60床の入所施設にし、昼間は生活訓練を行う。病院と同じ
医療法人などが経営するが、障害者自立支援法による施設で、医
療スタッフは置かず、病院には通院する形になる。標準利用期間は
2〜3年だが、市町村の審査会が認めれば更新できるという。

 病棟の改装には国・自治体が1件1億円前後を補助する。病院敷
地外に新築する場合(個室が条件)を含め、今年度予算から94億円
を出せるという。

 同省障害福祉課は「あくまで地域への段階的な移行が目的。施設
から出られずに固定化しないよう歯止めはかけたい」と説明する。

 これに対し、NPO大阪精神医療人権センターの山本深雪事務局
長は「病院の敷地内やすぐそばの施設では、退院した実感を持てな
い。まして病棟を模様替えしただけの施設では、病院に囲い込みが
続くだけ。地域に行き場がなければ、利用期間を決めても有名無実
になる」と批判している。

(2006年08月18日 読売新聞)

そーす http://osaka.yomiuri.co.jp/news/20060818p101.htm