「市民に深くおわびしたい」――。横浜市の副市長、局長といった
幹部をことごとく巻き込んだ、東京都町田市長の政治資金規正法
違反(公務員の地位利用)事件。8日、かつての“腹心”2人が略式
起訴され、中田宏市長は机上のマイクより低く頭を下げた。一方、
石阪丈一町田市長(59)(前横浜市港北区長)も会見したが、その
口から漏れたのは「辞任しない」の一言だった。
中田市長は午後4時15分、横浜市役所で会見、「市政に対する
信頼を損なう事態になった。市政を預かる者として責任を強く感じ
る」と深々と頭を下げた。約5秒間。一斉にカメラのシャッター音が
響いた。
事件では、略式起訴された2人のほか、副市長ら特別職がパー
ティーの「発起人」となり、資金集めに協力していた実態も明らか
になった。これについて、中田市長は「特別職をはじめとする幹部
に、公務員としての規範意識が徹底されていなかった」。よどみな
い口調だったが、顔色はさえなかった。
「私を含む関係者の厳正な処分を行う」と自身の監督責任にも言
及。内部調査の結果についても、10日の市議会調査特別委員会
で報告する考えを明らかにした。
中田市長は職員時代の石阪市長の手腕を高く評価していたとい
う。町田市長選が行われた2月には、応援にも駆けつけ、地方自治
をともに盛り上げていこうと有権者に呼びかけた。石阪市長につい
てどう思うかと問われると、「多くの人の期待を裏切る結果になって
いる。私自身も申し訳なく思う」と語った。
中田市長は会見後、臨時の局区長会議を招集。さらに庁内放送
で石阪市長らが刑事処分を受けたことを報告、「なぜこのような事
件が起きたのか、職場ごとに議論してほしい」と呼びかけた。
石阪・町田市長は8日、これまでの説明を一転させ、違反の事実
を認めた。一方、「現時点では判断しない」と辞職する考えのないこ
とを明らかにした。
会見は市庁舎で午後6時から約45分間。刑事責任については
「全面的に認めた」(横浜区検)はずの石阪市長だったが、この日は
「積極的でなく、消極的に関与していた」「法に触れる部分があり、責
任の一端はある」と述べるにとどまった。「反省している」とも語った
が、端々で言葉を濁した。
近く横浜簡裁は罰金刑を言い渡す。これについては、「払う」と言明。
ただ、公民権が停止せず、失職せずに済んだ場合という条件付き。
政治資金規正法違反では、罰金刑が下っても、裁判官が情状を酌
み、失職の必要がないと判断すれば、公民権停止は免除される。
こうした簡裁命令が出ることにかけているのか、「公民権停止は重
すぎる」と不満そうに語った。免除されなかった場合には、正式裁判
で争う姿勢を示した。
これまでの説明が二転三転したとの指摘に対しては、「説明は変
化していない」などと繰り返した。
(2006年8月9日 読売新聞)
そーす
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/kanagawa/news001.htm