2006年08月03日18時58分
海上保安庁は、沿岸部で海難救助にあたる巡視艇の乗組員に交代
制を導入し、24時間現場に急行できる体制の整備を進める方針を固
めた。要員不足から海上保安官の休日に事故が起きると緊急の呼び
出しで対応することが多く、救助が遅れたケースもあった。海保は国
家公務員の削減方針を踏まえつつ、複数年度での増員などを要求す
る。
海保によると、沿岸部や港内の海難救助やパトロールなどに出動す
るCL型巡視艇は全国に約170隻配備され、5人1組で運航。遊泳中
に流された海水浴客などの救助のほか、漁船の転覆、衝突事故など
に出動する。海保全体では年間約2千人を救助しているが、多くがこ
うした事案だ。
海保は各海上保安部や海上保安署に1隻しか巡視艇が配備されて
いない場合や、出動頻度が高いなど重要性が高い数十カ所を軸に、
交代制で職員の運用をできるよう増員を目指す。
ただし、政府全体で06年度から5年間で定員を5%以上純減する方
針が決まっているうえ、海上保安学校などの受け入れ枠もあり、これ
らを考慮しながら要望人員を検討する。
きっかけとなったのは今年2月の福井県敦賀市沖での救難事案。救
命胴衣を着用した男性(当時46)が浮いているのが発見されたが、海
保の巡視船(乗組員25人)と、巡視艇(同5人)の乗組員は当直の2、
3人を除いて公休だった。
このため、密漁の取り締まりなどに使う漁船を陸上勤務の職員が操
船して救助したが、男性は搬送先の病院で死亡が確認された。通報
から到着までに約45分かかった。
巡視艇の乗組員はほかの国家公務員と同じ原則1日8時間勤務、4
週8休。交代制はなく、休日や夜間に起きた救助事案などで非常参集
するケースは年間の出動件数の3割前後にのぼるという。
羽田特殊救難基地(東京都)を拠点とし、高度な救助技術を持つ特殊
救難隊(36人)や、主要航空基地に配置されている機動救難士は交代
制で、24時間出動できる体制になっている。
そーす
http://www.asahi.com/national/update/0803/TKY200608030240.html