【パリ3日安倍雅信】来春の仏大統領選挙の有力候補と目されるサルコジ仏内相(最大
与党・国民運動連合総裁)の著書『Temoignage(考証)』が売れている。出版社のXOエ
ディションによれば、発売以来、2週間で5版を重ね、27万5千部が書店に送られたとし
ている。
夏のバカンスシーズンを狙った同書の成功は、フランス人が次期大統領選に、いかに高
い関心を寄せているかを物語っている。サルコジ氏によれば、同書は、具体的政策提言
というよりは、サルコジ氏自身がこの国に対して何を考えているかを著したもの。フランス
人の労働軽視への危機感、アラブ・アフリカ移民の同化政策失敗への反省、政府の機能
不全の改革が優先課題であることなどを列記している。
また、問題の解決策として、これまでの社会主義寄りの管理主義政治から、自由経済の
本格導入の必要性を説いている。さらに日ごろ敵視しているシラク仏大統領への賛辞も書
かれているほか、妻セシリアさんが知人の男性と駆け落ちし、数カ月後に帰ってきたことに
も触れている。
フィガロ紙は、ジョスパン元首相の本の5万7千部、オランド社会党第一書記の本の2万7千
部など、過去の政治家の書いた本の売れ行きからしても、サルコジ氏の本は破格と指摘し
ている。フランス人は通常、夏に少なくとも3週間から4週間のバカンスを取るが、バカンス先
で政治が話題になることが多い。
フランスの新年度に当たる9月、政治も大統領選挙に向けて本格始動する。世論調査では、
社会党のセゴレーヌ・ロワイヤル元家族・児童審議官と大接戦を続けているが、本の内容に
対する国民の受け止め方によって、支持率が左右される可能性もある。大統領選に強い意
欲を示すサルコジ氏だが、本の出版で最初の一手を投じたことになる。
2006/8/3 15:30
ソース 世界日報:
http://www.worldtimes.co.jp/news/world/kiji/060803-153047.html