世界保健機関(WHO)当局者は20日、2週間前に死亡したジャカルタ在住の
男性(44)が鳥インフルエンザウイルスに感染していたと明らかにした。
インドネシアの死者数は42人となり、ベトナムと並んで世界最多となった。
ただ、ベトナムでは鶏の大量殺処分などで封じ込め、今年は感染報告がない。
インドネシアでは政府の対応が遅れ、最速のペースで感染が拡大している。
ジャカルタ郊外にあるバンテン州ガルット村。75カ所の大規模な鶏小屋があり、
30万羽以上が飼われる「養鶏の村」だ。20日、農業局と地元大学が協力し、
鳥インフルエンザの講習会を開き、50人ほどが参加した。
専門家が「死んだ鳥は素手で触ってはいけない。もし高熱やのどの痛み、
下痢などの症状が出たら、直ちに保健所に行ってください」と説明すると、
村人はメモをとりながらうなずいた。
インドネシアでは03年に鳥への大量感染が判明。05年7月にジャカルタ郊外で
初めて人への感染が報告され、その後わずか1年で急速に広がった。
政府は昨年12月、鳥インフルエンザ対策の戦略計画を発表。今年3月には
省庁横断的な国家委員会も設置した。バユ・クリスナムルティ事務局長
(経済担当調整副大臣)は「できる限りの手は打った」としながらも、
いくつかの問題点も認める。
その一つが、ワクチン接種の限界。都市部の一般家庭で飼う家禽(かきん)までは
手が回っていない。WHOによると、感染者の9割までは都市部の住民だ。
国際社会の支援も遅れている。1月に北京で開かれた国際会議で11億ドルの拠出が
約束されたが、先月までの拠出額は3億ドルに満たないという。
一方で、インドネシアが「ウイルス封じ込めに極めて有効」(WHO)とされる家禽類の
殺処分に踏み切っていないことに批判が出ている。
政府は、殺処分に消極的な理由として予算不足を挙げる。現在、殺処分された
家禽に対する1羽あたりの補償金は1万ルピア(約130円)だが、
「少なくとも2万5000ルピアをもらわなければ、割に合わない」(養鶏業者)と
反対の声が強い。
ソース
http://www.asahi.com/international/update/0721/001.html 参考
感染症情報センター
http://idsc.nih.go.jp/disease/avian_influenza/62who12.html http://idsc.nih.go.jp/disease/avian_influenza/case060720.html