大魔神がほえた! 日刊スポーツ評論家の佐々木主浩さん(38)が
念願の巨大魚カジキにアタックした。14日から16日まで南伊豆・下田港(静岡)を
ベースにして行われた「第28回国際カジキ釣り(JIBTトローリング)大会」に参戦。
大会2日目にカジキをストライク! 大汗を流しながら、大魔神がほえまくった
大奮闘ルポをお届けしよう。
佐々木さんが今回、選手登録したのは、小松正訓さん(61=横浜市)が
リーダーを務める「TEAM GATIN 人徳丸」。チャーターボートは「第6人徳丸」で、
舵(かじ)を握るのは長年にわたって経験したカジキの突きん棒漁から、
その生態を知り尽くした田中大海(ひろみ)船長(55)だ。
朝のスタートフィッシングを合図に参加船107隻が、それぞれ狙うエリアを目指して
一斉に走った。ド迫力の光景だ。それを見詰めながら佐々木さんは「カジキを釣るのが
夢だった。それがかなうと思うと興奮する」と話す。カジキのトローリングといえば
「老人と海」で知られる文豪ヘミングウェーも魅せられた釣り人のロマンである。
夢の実現へ向けて田中船長が船を走らせたのは新島と式根島に近い、
俗に「ヒョータン」の呼称がある<インディア>エリアだった。
ルアーを海中に流し、魚が飛び付くまで船は走る。しかし反応がない。
田中船長は「潮温が低すぎる」とポツリ。カジキの適潮温は22度以上で、
色も紺ぺき色がベストだという。だが、各エリアに散った各船からも
「潮温は21度以下で海は緑色」の無線交信が続く。潮況が悪い。
初日はカジキのストライク(ヒット)コールなしで終わった。それでも佐々木さんは
「今日がダメでもあしたがある」と気分の切り替えが早い。実際、これまで佐々木さんの
釣行に何度か同行しているが、悪条件もなんのそので、最終的に本命を
ヒットさせてしまう不思議な体験をさせられている。2日目に期待だ。
2日目。この日、エリアが3カ所拡大され(掲図を参照)午前11時14分ごろ
インディアエリアでカジキのストライク(ヒット)コールが入った。それを聞いた田中船長は
潮の流れを読み、カジキが入り込んだと判断して同エリアを流した。
そして午後0時30分すぎ。右舷のトモ(船尾)に設置したロッドのリールからギャーッという
鋭い音とともにラインが勢いよく飛び出した。
魚がルアーを追いかけてきて食い付いた瞬間のスリリングさがトローリング
の醍醐味(だいごみ)といわれる。船から遠い場所の海上でバシャバシャと魚が
ハネるのが見えた。確認した田中船長が「クロカジキだ!」と叫ぶや全員が色めき立った。
佐々木さんもトモに設置されたチェアに腰を下ろし、ロッドを手にしてバトルが始まった。
トローリングはリールが巻ける時は一気に巻き、魚が走っている時は休み休み
体力をうまく温存しながら寄せてくる。しかし10メートル巻けば、それ以上にラインが
出ていく。これが繰り返され、たまらず佐々木さん「もう出てくれるなあ」とほえた。
のちに「今まで体験したことのない重量感でまるで綱引きを思わせる引き」と話したが、
同大会のルールはヒットから仕掛けのリーダーをつかむまで、ほかの人は
タックルに触れられない。ファイト中に尿意をもよおそうが離れれば失格になってしまう。
まさにマラソン並みの持久戦。梅雨明けを思わせる強い日差しに照り付けられ、
大汗を吹き出しながら孤独なバトルが続く。
1時間後、船べりの近くまで仕掛けが寄ると、海面下にユラ〜と巨大な魚の姿が。
背中部分が青く<ブルーマーリン>とも呼ばれるクロカジキだ。推定で100キロ前後。
佐々木さんが「勝った!」とほえた直後だ。船べり近くで左から入り込むや、
いきなり反転。その瞬間、ルアーが外れ、ゆっくりとスローモーションで海中に
姿を消してしまった。フッキング(ハリ掛かり)が甘かったらしい。
佐々木さん「バレる時にカジキと目と目が合った。悔しい〜」と、またまたほえた。(以下略)
ソース
http://lifestyle.nikkansports.com/fishing/tokyo/20060721-17449.html