【バンコク=岩田智雄】順調な経済成長が続くベトナムで、将来の電力不足への懸念が高
まっている。ベトナムは現在も、中国やラオスから電力を輸入しているが、電力需要の増加
を満たすには、今後5年間で国内の発電能力を倍増させる必要があると予測されている。
ベトナムは過去5年間、国内総生産(GDP)比で毎年、6・9%〜8・4%の成長を続けてきた。
電力需要が確実に増加するなか、同国政府は工業用発電に電力を優先的に供給、家庭で
は停電に見舞われることも珍しくない状態だ。
今年5月下旬から6月上旬にかけては特に、降水量の減少が影響して水力発電所の発電能
力が低下。一部の大規模発電所の故障も重なり、各地で停電が続いた。ベトナムでは、サッ
カー人気が高く、市民の間では、ドイツW杯期間中に、家庭でテレビ観戦ができなくなるので
はとの懸念も浮上した。結局、“恵みの雨”が降り、電力不足は最小限にとどまったものの、
将来の電力不足への不安は解消されていない。
チャイナリスクを避けるため外国企業の投資先として注目されているベトナムでは、今後5年間、
年率7・5〜8%の経済成長が見込まれている。電力需要は毎年15%ずつ上昇すると予測され、
政府は2010年には発電能力を05年の2倍に引き上げる計画だ。20年には原発1号機を稼働
させることも視野に入れている。しかし、設備投資に必要な金額は毎年約3000億円が見込まれ
おり、政府は財源確保の課題に直面している。
http://www.business-i.jp/news/world-page/news/200607200006a.nwc 外務省-ベトナム社会主義共和国-基礎データ:
http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/vietnam/data.html