仮釈放運用を厳格化、「再発防止」提言へ…有識者会議
保護観察制度の見直しを進めている法務省の「更生保護のあり方を考える有識者会議」
(座長=野沢太三・元法相)は、保護司との面接を怠るなど更生意欲の見られない対象者
について、運用基準を厳格に適用し、仮釈放や執行猶予の取り消しを積極的に求めるべき
とする最終提言案をまとめた。
性犯罪を繰り返すなど再犯の恐れが高い場合には、仮釈放のハードルを高くすることも
盛り込まれた。最終提言は27日に杉浦法相に提出される。
提言案は、保護観察の対象者約6万人のうち、所在不明者が今年3月末現在で1851人
に上っている現状を指摘。再犯防止には、保護観察中の生活実態の把握が不可欠だとして、
対象者が保護観察官や保護司との面接を怠ったり、所在不明となったりした場合には、
仮釈放、執行猶予の取り消しを求めるべきだとした。
仮釈放については、現在の運用基準が、「悔悟の情」や「更生の意欲」など受刑者側の
態度を重視しているのに対し、社会防衛の観点を取り入れ、〈1〉過去に同種犯罪を繰り返す
など再犯の恐れが高い〈2〉社会が仮釈放を許していない――場合には、仮釈放を認めない
よう基準を改めるべきだとした。仮釈放の可否を審理する地方更生保護委員会には、
「社会の感情」の判断材料として被害者の意向を尊重するよう注文も付けた。
一方、覚せい剤犯罪のうち常習性のないケースなどは、尿検査を義務付けたうえで早期に
仮釈放すべきだとし、「メリハリのある運用」を求めている。
提言案はまた、保護司が支える保護観察制度の現状について、「民間に過度に依存しており、
保護観察制度をこのまま維持するのは限界」とも指摘。保護司の高齢化が進み、後任の確保
が難しくなっているため、公募制の導入を提案した。
同会議は、奈良市の女児誘拐殺人事件や東京都内の連続女性監禁事件など、被疑者が
過去に保護観察を受けたり、保護観察中だったりした際に重大な再犯事件が続けて起きた
のを機に、昨年7月に設置された。
ソース : (2006年6月24日14時32分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20060624it05.htm