国内初のマンガ学部を今春開設した京都精華大(京都市左京区)が、
資料収集から活用モデルの開発までを含めた総合的な漫画研究を本格化させる。
日本漫画の通史把握や次世代産業コンテンツの開発、著作権保護の考察など
幅広い観点から学術的研究を確立し、漫画文化の発展を目指す。
京都精華大国際マンガ研究センター(代表・牧野圭一教授)として、
本年度の文部科学省オープン・リサーチ・センター整備事業に採択された。
予算額は約5億円で「人文・社会系では異例の規模」(同省)という。
研究は4つのプロジェクトで構成する。
大量複製印刷による漫画が始まる幕末から現代にかけての錦絵や浮世絵、
欧米のカリカチュアやバンドデシネも含む資料20万点を収集。
日本マンガ学会会長で評論家の呉智英氏や、現代マンガ図書館の内記稔夫館長らを招いて、
表現様式の変化などの理論的分析を進める。
活用面では、産学連携によるデジタルコンテンツや教材などへの新たな用途拡大を目指すほか、
海賊版や新古書店などを巡る作家の著作権保護や知的財産としてのあり方についても考察。
「国際マンガ情勢」などの資料や論文集も刊行する。
研究拠点は、今年11月の開館を目指して京都市教委と共同で元龍池小(中京区)に整備中の
「京都国際マンガミュージアム(仮称)」に置き、同ミュージアムの運営自体も研究対象とする。
中心となる吉村和真助教授(思想史・漫画研究)は
「漫画が人間に与える影響力を多面的に問い直し、新たな表現資源として社会活用を促進していきたい」と話す。
http://www.kyoto-np.co.jp/article.php?mid=P2006061400223&genre=G1&area=K10