◇ヤコブ病、90年代輸出の血液製剤で感染の恐れ 英国政府が警告
【ロンドン13日高田昌幸】
英国から一九九○年代に輸出された血液製剤が、変異型クロイツフェルト・ヤコブ病を引き起こす
可能性があるとして、英政府がブラジルやトルコなど輸出先の十四カ国に警告を発している。
警告対象に日本は含まれていない。
ヤコブ病は、牛海綿状脳症(BSE)にかかった牛の危険部位を食べた人が発病するとされ、血液製剤
による感染ルートはこれまで理論的な可能性のみが取りざたされていた。英政府は二○○三年十二月、
輸血によるヤコブ病の発生を初めて確認。その後、英政府傘下の生物製品研究所(BPL)の血液製剤を
当局が再検査したところ、英国以外での危険性が判明したという。
問題の血液製剤は、後にヤコブ病を発症した九人、計二十三回分の献血から製造された。英国内では
約六千人が感染した可能性があるという。
海外では、ブラジルとトルコへ輸出された血液製剤の危険性が最も高く、トルコ政府はすでに血液製剤を
使用した患者の追跡を始めた。
ブルネイ、アラブ首長国連邦、インド、ヨルダン、オマーン、シンガポールの六カ国に輸出された製品も
注意が必要という。ベルギー、モロッコ、エジプト、フランス、オランダ、イスラエルへも輸出されたが、危険性は
低いとしている。
一方、フランスは問題の血液製剤を十カ国に再輸出したが、その国名を明らかにしていない。
BPLを管轄する英血液移植局は「英国の血漿(けっしょう)を使った血液製剤は安全性確保のため、
九九年に製造を終了している」として、現行の血液製剤には問題がないと説明している。
ソース:北海道新聞
http://www.hokkaido-np.co.jp/Php/kiji.php3?&d=20060514&j=0026&k=200605137562