脱皮直後は「若松葉ガニ」。しばらくたって甲羅が硬くなると「松葉ガニ」。
鳥取県で日本海の名物「ズワイガニ」の雄を呼ぶ二通りの名前が定着しているが、
実は別々の種類を指すのではないかという“疑惑”が長らくささやかれており、
県はズワイガニを飼育して成長過程を確かめる試験を始めた。
県水産試験場によると、脱皮直後で甲羅が軟らかく身が詰まっていない若松葉が約半年後、
甲羅が硬くなって松葉になり、それを約十年間に十−十五回繰り返すというのが定説。
同じ大きさでも、松葉は約十倍の値段がつくこともある。
だが若松葉は腹の色が薄く透けており、水深約二〇〇メートルに生息。
松葉の腹は白く、生息地は水深約三〇〇−五〇〇メートル。
松葉の方がカニみそが濃厚など味も違い、別種と主張する漁業関係者もいる。
そこで真偽を確かめようと、二月から県立水族館(鳥取市)が試験を始めた。
最後の脱皮前と、脱皮後の若松葉計約十五匹を水槽で育てており、松葉に成長するかをみる。
結果が出るのは約二年後の見込み。
他県で若松葉は「水ガニ」、松葉は「越前ガニ」などと呼ばれ、
全国底引き網漁業連合会は「松葉より大きい若松葉もいる。
別種説は全国にあるのではないか」と話す。
鳥取県は、漁の期間短縮や小さなカニの漁獲規制など資源保護を進めており、
県水産課は「松葉と若松葉が同種か別種かを明らかにし、
漁業関係者に納得してもらった上で規制に取り組みたい」と話している。
■ソース
東京新聞[2006年5月2日13時40分]
http://www.tokyo-np.co.jp/00/sya/20060502/eve_____sya_____004.shtml