「海外旅行の旅費を稼ぎたい」。北海道小樽市内の男子大学生(23)がインターネット上の
違法カジノ(オンラインカジノ)にのめり込んだ。負け続け、借金はあっという間に200万円に膨らんだ。
闇サイトに助けを求め、売却目的の携帯電話を指示されるままに他人名義で契約。
詐欺罪などで逮捕・起訴された。札幌地裁で25日あった初公判。就職内定も棒に振り、
「愚かだった」とうなだれた。彼がはまったのはネット社会の落とし穴だったのか。
「就職活動が終わり、目標がなくなった。羽目を外そうと考えていた」。両親が見守る法廷で、
学生は力なく話した。大学はいま休学扱い。「何を勉強してきたのか」。厳しく諭す井口実裁判長の声が響いた。
毎月1万円の仕送りとレストランでの深夜アルバイトなどで生計を立てていた。
オンラインカジノに手を出したのは4年生だった昨年8月。オンラインカジノは賭博が合法な国に拠点を置き、
日本国内での利用は違法だが、日本語サイトも多い。クレジットカードでチップを購入し、
ルーレットなどのゲームで当たると換金できる。
「紹介するサイトを見てこつこつやればお金になると思った」。だが、甘かった。
消費者金融からの借金ですぐに首が回らなくなる。
起訴状などによると、学生は今年1月ごろ、ネットで見つけた「闇の職業安定所」というサイトにアクセスする。
「マツダイラ」と名乗る人物に「他人名義の携帯電話を1台5000円で買い取る」と持ちかけられ、
借金返済のため犯行を決意した。他人名義で顔写真だけが自分の偽造運転免許証が郵送されてきた。
2月2日、札幌市中央区の家電量販店で偽造免許証を示し、携帯電話2台を契約してだまし取った。
2台を「マツダイラ」に送ると、「報酬は3台になってから」と連絡があった。そこで同13日に同市北区の
家電量販店でもう1台をだまし取ろうとしたが見破られ、未遂に終わった。
検察側は「電話は振り込め詐欺などに使われている可能性が高い」と指摘する。
「マツダイラ」の正体は今も不明だ。
初公判で学生は起訴事実を認め、検察側は懲役2年を求刑し結審した。判決は5月23日。
◆ソース:毎日新聞
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/jiken/news/20060426k0000m040172000c.html