【モスクワ=内藤泰朗】ロシアのプーチン政権はこのほど、反ロシア的な姿勢を示す旧ソ連構成国の
グルジアとモルドバで生産されたワインが「有害物質を含む」としてロシアでの販売を全面的に禁止した。
反ロシア的な国の主力輸出品をロシア市場から締め出し、経済制裁を科した形だ。
今年初めに起きたウクライナとの天然ガス紛争に次ぐ「ワイン紛争」の行方が注目されている。
ロシア食品衛生当局が先月末、同国で流通するグルジア、モルドバ産ワインの約半分は
「重金属や農薬などの有害物質を含み、飲用には適さない」と発表したことが発端となった。
今月9日には、同当局責任者がこれらワインの輸入禁止と店頭からの回収命令を出し、
両国の輸出用ワインの70−85%を占めるロシア向け輸出が停止し、店頭からも一斉に消えた。
モルドバの製造業者は、「欧州にも輸出されており、衛生的に一切問題はない。
政治的な問題だ」と反発。同国のウォロニン大統領は巨大市場である中国への売り込みを図っているが、
ロシアに代わる有望市場はなかなか見つからず、ロシアの有力日刊経済紙コメルサントは
「モスクワで大統領同士の話し合いで解決するしかない」と伝えている。
プーチン政権が、ソ連の独裁者スターリンが愛飲したグルジア・ワインや、大衆ワインの代名詞として知られ、
ロシア国内で販売されるワインの44%を占めるモルドバ・ワインをこの時期に締め出した背景には、
両国が先日、ロシアの世界貿易機関(WTO)加盟に異議を唱えたことに対する「報復」との見方もある。
(04/13 00:11)
http://www.sankei.co.jp/news/060413/kok002.htm