京都大大学院の医学研究科教授(50)が、大学が定めた承認手続きを経ないまま
大阪府内の医療用機械卸会社など2社から研究開発費や借金名目で計4500万円を受け取ったことが、
関係者の話でわかった。
同科医学教授会は教授を「懲戒解雇処分相当」と結論づけ、処分決定の最終機関である
「教育研究評議会」(議長・尾池和夫学長)に諮っており、28日に開催される評議会で教授の処分が
決まる見通し。教授は「すべて個人的な借金で、学内の手続きは必要ない」と主張している。
同科の調査などによると、教授は2003年9月、アトピー性皮膚炎の研究開発名目で2500万円、
04年1月には、たんぱく質等の実験費として1000万円を大阪府内の医療用機械卸会社から
受け取ったほか、04年7月には兵庫県内の医療機器開発会社から1000万円を借りていた。
教授はその後、兵庫県の会社の代表取締役(52)を04年度後期の非常勤講師に採用するよう
同科に申請したが、提出書類に研究業績の記載がないため、手続きは進まなかったという。
この取締役は04年11月に大麻取締法違反(栽培)容疑で逮捕され、05年3月、捜査当局から大学に
「京都大非常勤講師の名刺を持ち、研究費を提供していたと供述した」と照会があったことから
教授会は調査委員会を設置した。教授に事実確認を行ったところ、借入金などが判明したという。
教授会は昨年12月、教授は意図的に研究費の受け入れ手続きをせず、私的な経理をしているほか、
京大教授として職務や地位の私的利用がうかがえるなどとして、教職員就業規則に基づき、
「懲戒解雇が相当」と結論づけた。
教授は本紙の取材に対し、「借りた金はエイズ患者の疫学調査の資金として南アフリカ共和国の
民間活動団体に送金した。私的な借金で借用書もある。企業の寄付金とは性格が違うと考え、
大学には報告していなかった」と説明している。
(2006年3月27日3時18分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20060327i201.htm