自治体発注の汚泥処理施設工事を巡る談合疑惑で、施設を設計するコンサルタント会社を選ぶ入札では、
予定価格の10%を下回る極端な安値落札が横行していることが、関係者の話でわかった。
コンサルタント関係者は「特定メーカーと示し合わせて確実に落札を図り、そのメーカーの受注に協力して
資金提供を受ける手法が多用されていた」と証言する。メーカーの受注工作が、自治体の発注業務を補助する
コンサルタントの選定入札すら骨抜きにしていた疑いが浮かんだ。
公正取引委員会の調べなどでは、メーカーの談合組織はコンサルタント会社から完成図面を入手した
会社を受注業者とするルールを作っており、各社競ってコンサルタントの業務に協力するのが通例だった。
山口県岩国市が2002年2月、施設の基本設計を作るために行った指名競争入札で、
東京都内のコンサルタント会社が予定価格の約10%に当たる170万円で落札。
同社は翌年、実施設計の入札でも1%未満の50万円で落札した。
公取委は04年4月、2度の入札は独占禁止法違反(不当廉売)の疑いがあるとして、同社に警告。
自治体側には、入札価格が極端に低い場合は調査するよう、ホームページを通じて呼びかけた。
しかし、これ以外にもコンサルタント会社の安値落札が多発。03年6月、大阪府東大阪市などで
作る行政組合が行った発注仕様書作成のための入札では、別の都内のコンサルタントが20万円で落札。
落札率(予定価格に占める落札額の割合)は4%だった。
同年7月には、大分県中津市の発注仕様書作成業務を、大阪市のコンサルタントが5万円で落札。
落札率はわずか0・3%だった。同社は中津市に「汚泥処理分野での実績を積みたかった」と釈明したが、
市は、提出された書類の記述や図面が特定メーカーに有利な内容になっているとして、修正したという。
あるコンサルタント関係者は、
「業務実施が不可能な安値落札でも、ほぼ100%、メーカーからの資金提供が期待できた。
入札前、特定メーカーと協力関係を結ぶことも多かった」と証言。別の同業者も
「安値落札は2000年ごろから目立つようになった。コンサルタントは、意中のメーカーに
工事を受注させるための代理戦争をしているようなものだ」と話す。
コンサルタント会社の安値落札は、メーカーがコンサルタント会社に資金提供するなどして関係を深め、
談合による受注を有利にする狙いがあった可能性が高い。公取委も発注自治体からコンサルタント選定入札の
資料を取り寄せて調査しており、同様の事実を把握しているとみられる。
この3社は読売新聞の取材に、昨年8月に公取委の立ち入り検査を受けたことを認めた上で、
「メーカーからの資金提供はない」などと回答している。
ソース:読売新聞
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20060316i301.htm