石川島播磨重工業(IHI、東京都千代田区)は東京お台場の新交通システム「ゆりかもめ」
でおなじみの新交通システム(APM)車両を香港国際空港向けに納入した。国内市場が伸
び悩む中で、中国をはじめアジアでは空港プロジェクトや都市間の新交通システム計画がめ
じろ押しで、アジア市場の開拓を成長戦略に位置づけている。
今回納入したのは、香港国際空港の旅客ターミナル内の約七百五十メートルを走行する無
人交通システムで、最大速度は六十二キロ(毎時)。香港国際空港は中国からの観光客や
海外への乗り継ぎ客の増加に対応して車両を増強するのに対応する。
IHIが納入したのは新型車両三システム(一システム四両編成で全十二両)。IHIが主契約
者として工事全体をとりまとめ、子会社の新潟トランシスが車両を製作、香港地下鉄公社が
現地での据え付けを担当した。受注額は十三億円。
今回納入した新型車両は、香港国際空港の到着側「ウェストホール」と出発側「イーストホ
ール」を結ぶ七百五十メートルに投入する。
車両に加えて、「イーストホール」とその隣接地に建設予定の大規模商業施設「スカイプラ
ザ」の間(約五百メートル)の新交通システム向けの信号・通信設備工事などを受注したのに
続き、「スカイプラザ」から、中国本土からの旅客受け入れ窓口であるフェリーターミナル「ス
カイピア」までの約一キロメートルの延伸工事も受注、現在工事を進めている。
日本では二〇〇七年度に完成予定の「日暮里・舎人(とねり)線」に新交通システムを投入
する計画だが、その後の計画はなく、今後は成長するアジア市場に照準に合わせる。
中国をはじめアジアでは経済成長やモータリゼーション(車社会化)に伴う大気汚染の増大
を背景に、環境にやさしい新交通システムやモノレールへのニーズが高まっている。日立製
作所が昨年七月に重慶市でモノレールの商業運転を開始したほか、今後は空港内や都市間
を結ぶ新交通システムの市場開拓が進みそうだ。(上原すみ子)
FujiSankei Business i.
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