◇五輪落選でも新競技場 須崎埠頭再開発へ
夏季五輪招致を目指す福岡市は、メーンスタジアムの場所を中央区の
須崎埠頭(ふとう)に絞り込むとともに、招致の成否にかかわらず、
スタジアム整備など同地区の再開発を進める方針を固めた。
九州一の繁華街・天神の北隣にありながら倉庫などが並ぶ地区の
再開発により、都心部を広げる狙いがある。だが、巨額の費用が
かかるとみられ、市の財政の悪化に拍車がかかるおそれがある。
五輪招致に向けた市の非公表資料によると、
須崎埠頭へのスタジアム整備には三つの案がある。
市幹部らが有力と指摘する案では、埠頭南東部にある福岡競艇場を
南西部に移転させ、跡地にスタジアムを建設。3万人収容の恒久施設で、
五輪開催時には5万人収容の特設スタンドを加える。周辺の道路整備などの
費用もあわせると1178億円かかり、国の補助を差し引いた市の負担は
687億円と見込む。建築などが制限される「臨港地区」に指定されているが
解除する。スタジアムは平和台陸上競技場(中央区)の代替施設とする。
●地価上昇頼みに懸念
≪解説≫ 須崎埠頭再開発の問題点は、深刻な
福岡市の財政が一層悪化しかねないことだ。
市は、財源の一部として、埠頭にある市有地の売却収入を当て込んでいる。
市幹部らが有力視している案の場合、市の負担となる687億円に対し、
市有地の売却で333億円を調達できると試算する。
だがこれは、12ヘクタールもの土地が順調に売れた場合の話だ。売却価格も
臨港地区である現在の価格ではなく、周辺の商業地域の評価額である
1平方メートルあたり27万8千円で計算している。五輪招致に失敗すれば、
整備に対する国の支援が減り、市の負担が膨らむ恐れもある。
市は臨港地区指定を解除し、再開発を進めれば地価は上がると踏んでいるが、
思惑通りに進むかどうか。あてが外れれば、市の負担が膨らんだ博多湾の
人工島事業の二の舞いになりかねない。
市の財政は政令指定都市で最悪の水準にある。にもかかわらず、
多額の投資をする必要があるのか。五輪招致が実現しない場合の
再開発は、なおさら慎重な検討が必要だろう。
ソース(朝日新聞)
http://mytown.asahi.com/fukuoka/news.php?k_id=41000000601040006