◇厄介なイノシシ ごちそうに変身
畑を荒らし回る厄介者のイノシシを、山のごちそうに変身させる――。
吾妻郡の町村が、年々拡大するイノシシ被害の対策に乗り出した。
捕えたイノシシを食用にして「ジビエ料理」として地域で売りだそうとする試みだ。
イノシシの解体工場を、中之条町で来年秋から稼働させる予定で、
販売・流通にも力を入れるという。
狩猟などで得たエゾシカや野ウサギ、キジなど野生鳥獣の肉を調理する
ジビエ料理は、独特の野生の風味が特徴で、東京都内で専門店も
出来るほど人気が出始めている。
吾妻郡内のイノシシ被害は、ここ10年で急増した。94年度の捕獲頭数は
24だけだったが、昨年度は454頭に膨れあがった。収穫直前のサツマイモを
掘り起こされたり、シイタケをかじられるなど、被害金額はサルやカモシカなど
他の動物の被害と合わせて1億1642万円と深刻さを増している。
駆除や対策費として投じた費用は郡全体で3500万円を超えた。
郡の農業振興協議会は、03年に鳥獣対策特別部会を設置。
行政、猟友会、農家代表らが捕獲処理、製品の開発や事業化の
可能性などについて研究してきた。
目をつけたのが「ジビエ料理」だった。獣肉処理・加工施設は、遊休施設を
改修する予定で、郡内の町村の出資で公社を設立して運営する方針。
処理頭数は年間250頭を見込み、地元を中心に県内の旅館や
ホテルに販売したいという。
ただ、ジビエの売り込みには魅力あるメニューが欠かせない。
前橋市のレストラン「マック・スクエアスワン」の宮山和一総料理長に試作を依頼し、
ミートソース、八丁みそを使ったマリネ、赤ワイン煮などに地元の野菜を付け合わせた
メニューを提案してもらった。
宮山さんは「イノシシ肉は、イタリアではミートソースに、ドイツではソーセージにも
使われる素材。イノシシ肉の味わい深さが再認識されると思う」と話す。
「まず、駆除にかかる経費分ぐらい回収できればいいんですが」と抱負を語る
吾妻広域町村圏振興整備組合理事長の割田良次・高山村長。
「温泉街で料理を新たな名物にしてもらえれば、地域活性化にもつながる」と
期待を寄せている。
ソース(朝日新聞)
http://mytown.asahi.com/gunma/news.php?k_id=10000000512250002 ▽農作物を荒らすイノシシ。「食材」として地域起こしに一役買うことが期待されている
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