病気や事故で欠けた骨に代わって損傷部分にぴったり当てはまる人工骨
を東京大などが開発した。接着剤を含む粉末を厚さ0.1ミリの層に分けて
インクジェットのように吹き付ける方法で、細部まで損傷部分を再現できる。
複雑な構造をもつ頭部の損傷への応用などで威力を発揮するという。
佐々木伸雄教授(獣医外科)らが医療ベンチャー会社と共同で開発した。
従来品はヒトの骨に多く含まれるリン酸カルシウムを焼き固めた後に削り
込んで成形していた。削り込む際の割れなどにより細かい部分を再現でき
なかった。新製品はほぼ同じ材料を直径0.01ミリの粉末にして接着剤と
ともに、特殊な装置を使って何層にも分けて繰り返し吹き付け成形する。
細かい部分の再現だけでなく、従来品より早くできるという。
今年7月には骨腫瘍(しゅよう)の犬に、新開発の人工骨を使った治療を
行い、経過は順調という。佐々木教授らは、対象として上あごの骨が未発
達になる先天性の病気「口蓋裂(こうがいれつ)」や骨腫瘍、交通事故や
作業事故による骨折を想定している。人間での臨床試験を行い、薬事法に
基づく保険適用を求める方針だ。
佐々木教授は「人工骨を早く成形でき、ほかの人工骨に比べて早く自分の
骨に置き換わるため、患者さんへの負担が少ない」と話している。
URL:
http://www.mainichi-msn.co.jp/science/kagaku/news/20051226k0000m040086000c.html