ソニー創業者の一人、盛田昭夫氏(1999年死去)の親族の資産を管理
する会社が、2004年3月期までの3年間に約230億円の申告漏れを東京
国税局から指摘されていたことが分かった。
海外のグループ会社への貸付金が、課税対象の寄付に当たると認定され
たという。追徴税額(更正処分)は過少申告加算税などを含め60億円超に
上るが、同社側は国税当局に異議を申し立てている。
申告漏れを指摘されたのは、東京都中央区の「レイケイ」(6月に解散)で、
盛田昭夫氏の長男、英夫氏(53)が社長を務めていた。
関係者によると、英夫氏が株を100%保有するオランダの「モリタインベスト
メント」が00年10月、「F1」カー用のエンジン開発資金などとして海外の銀行
2行から約230億円の融資を受けた際、レイケイは保有していたソニー株など
を担保に提供。モリタ社の事業が難航したため、レイケイは03年以降、事業
からの撤退を決断、銀行への担保にした株などを売却、モリタ社はその売却
資金を借りて銀行融資を返済した。
しかし東京国税局は〈1〉レイケイはモリタ社と資本関係がない〈2〉モリタ社が
借りた銀行融資を実質的に肩代わり返済している〈3〉モリタ社に返済を求めて
ない――などから、レイケイにとってモリタ社への貸付金は、課税対象の所得
に算入されない損金でなく寄付金に当たると認定したという。
レイケイは74年に設立され、主に盛田家の資産管理や海外のスキー場運営
などを手掛けていた。融資直後の01年3月末には、ソニー株の2%強を保有
する第7位の大株主だったが、返済のための売却などで持ち株数は大幅に
低下していた。
レイケイ側は、「あくまでモリタ社を整理するのに伴って生じた損失であり、
寄付ではない」としている。
URL:
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20051224i101.htm