◇社会人、受け入れ整う−−MBA取得も可能、先行の「短期講座」好調
福井県立大大学院(福井県丸岡町兼定島4)が来年4月から、経済・経営学研究科を、
実務に直結したカリキュラムの経営学専攻(ビジネススクール)と、主に経済学の理論や経済政策を学ぶ
地域国際経済専攻に再編する。MBA(経営学修士)を取得できるビジネススクール設置には、
県内外の産業界からも期待が高まる。今年9月の入試では、社会人も合格。受け入れ態勢も進んでいる。
また今年度、社会人を対象に企業経営のノウハウの基礎などを学んでもらう「短期ビジネス講座」も開講。
定員を上回る受講者が集まる盛況ぶりだ。現状を取材した。【大久保陽一】
「短期ビジネススクール」は、初年度ながら、15人の定員に対し30人以上の応募があった。毎回80%以上の
出席率を誇る人気の講座だ。企業幹部対象の「経営革新コース」と中堅・若手社員対象の「キャリア形成コース」が
それぞれ夜間に週1回、3カ月間。受講者は企業成長と技術革新といった内容から、現在の金融市場の抱える
課題まで、実務に直結した内容を学ぶ。
福井市内のメーカーに勤務する山内康弘さん(36)は、入社以来「技術屋」として製品開発に携わってきた。
今年4月に会社経営に直接かかわる社長室に異動。経営を一から学ぼうと「キャリア形成コース」を受講した。
経営学の専門書を読んでも、内容をなかなか理解できなかったが、実際に講義で講師の話を生で聞くと、
「とても分かりやすい。ニュースは必ずチェックし、世の中の動きに敏感になった」。講義終了後は、
学生同士の交流も盛んで「人脈が広がるのも講座の魅力の一つ」と話す。
現在、ビジネススクールの開講準備に取り組む同大学院経済・経営学研究科長の竹内規浩教授(68)は
「入学してほしい学生」に「社会人学生」を挙げる。「高度な職業能力を身につけた人材でなければ、競争が激しい現代、
生き残れない。高度な経営の理論と戦略を学びたい社会人のためにも、教育の機会を提供するのがわれわれの役目」と語る。
ビジネススクールは修士課程。経済・経営学研究科が今年で設置10年を迎えるのを機にカリキュラムが見直され、
高度な経営理論と実践に富む職業人を育成し、経営学を学びたい社会人学生を積極的に受け入れる同スクールと、
地域国際経済専攻(修士課程)の二つに再編された。
ビジネススクールは、今年9月に初の入試が行われた。社会人対象の試験では、研究計画を記した
4000〜5000字の小論文と面接で審査。
学部からの進学者と留学生を含めた全合格者12人のうち、過半数を社会人が占めた。
福井県内の会社員、自営業者のほか、県庁や市役所職員、高校教師らが合格。短期ビジネス講座の受講生も合格したという。
多忙な社会人学生に配慮し、授業は主に土曜日と平日午後6時から開講。2年分の学費で4年間科目を履修できる制度も採用。
授業は同大学院の教師による講義のほか、外部から経営者などを講師に招く「ワークショップ」や論文指導を行う
ゼミを通じてディスカッション能力などを磨く。
科目は「マネジメント」「企業会計・法務領域」「地域産業マーケティング領域」「国際ビジネス領域」に体系化。
地場産業を扱う「福井産業論」では、地元の素材を使い、世界や全国レベルの課題にどう取り組んでいくかを論じる。
開講まで3カ月を目前に、竹内教授は「福井の産業界の中心となる人材を輩出したい。福井発の起業家の誕生も
期待できる」と意気込む。
ビジネススクールの開講は、地域企業との産学連携推進にもつながる契機。同大のこれまでの取り組みを通じて、
福井県内には経営学を学びたい社会人が多数いることも分かった。福井発の人材を活用するためにも、
ベンチャー企業の設立支援など今後は、ビジネススクール修了者を取り込む策も必要になるだろう。
同スクールは来年2月5日にも入試を行う。
問い合わせは同大学院(0776・61・6000)。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20051219-00000168-mailo-l18