北海道を代表するタレント、大泉洋(32)を“まるごと1冊”で紹介した「大泉洋
鈴井貴之編集長」(新潮社)が11万部を突破した。1600円の単行本としては
かなりのベストセラーだそうだ。新潮社の編集者によれば「北海道だけでこれだけ
伸ばすことはあり得ない。東京で売れてこそベストセラーになる」ということ。
地元タレントだった大泉の“全国区人気”ぶりが改めて証明された。
大泉ら出身大学・北海学園演劇研究会のメンバーで構成する演劇集団
「TEAM NACS」が今年4月、札幌からスタートさせた半年近くに及ぶ
全国11都市61公演は、チケットがすべて売り切れ。チームは「チケット入手困難」
ステージの仲間入りだ。今回の大泉本はひとつの節目を超え、「次のステップを
踏み出そうとしている」タレントをインタビュー、グラビア、両親はじめ周辺取材を
尽くして丸裸にしたもの。ファンでなくてもなかなか興味深い中身が詰まっている。
正直、2年前に北海道支社に異動してくるまでは、その名前すら知らなかった。
だが「おおいずみ・よう」という平凡かどうかも言い切れない名の存在は、北海道に
住み始めれば嫌でも日常の一部になる。テレビでその姿を見ない日はない。
バラエティーにしろCMにしろ。道内には大泉しかタレントがいないのか、
と思えるほどの露出だ。
再び正直言うと。バラエティー・タレントとしての面白さはイマイチ分からなかった。
若いころの欽ちゃん、萩本欽一に顔、芸風ともども似ている気がする。深夜ローカル
「おにぎりあたためますか」「水曜どうでしょう」(火、水曜、いずれも北海道テレビ)
はカメラを回しながら大泉が相方や向かった先々の人たちとの会話から笑いを
引き出していく。「欽どん」か「欽どこ」だったか両方か、欽ちゃんが収録会場の
客席の反応、やりとりの中で笑いを探っていったように。大泉に対してはいまだに、
番組内の相方が手をたたきながら大笑いするのにつられているのかもしれない。
ただ、今回の1冊を読んだ後では少し大泉像が変わっている。この“余りにフツー人に
してこの笑い”が見えてきたからだ。
全くほかに趣味を持たない、根っからのテレビっ子。テレビには詳しい。
「お笑いスター誕生」「クイズダービー」「世界まるごとHOWマッチ」。
ドリフ、欽ちゃん、ひょうきん族。「お笑いウルトラクイズ」「ごっつええ感じ」「笑点」。
ドラマなら「毎度おさわがせします」「男女7人秋物語」「男たちによろしく」。
トレンディードラマに「金八」。さらには「土曜ワイド劇場」。もう、すべてフツーである。
大泉へのインタビュー、最後は「究極の夢は?」。答えは「月並みな幸せを得る
ためには、ぼくはこの仕事を続けなきゃいけないからね。仕事がずっと続けられる
ようにがんばっていきたいということかな」。最近は何となく番組を見ていても
笑えるようになった。フジテレビのドラマ「救命病棟24時」に出演、宮崎アニメ
「千と千尋の神隠し」で番台のカエル、「ハウルの動く城」ではかかしのカブと声で
出演し東京進出は着々とはかっている。それについて語っている下りが最も
大泉らしいのではないか。読んでのお楽しみだ。
「水曜どうでしょう」のDVDが売れ、書店には大泉本が並んでいる。フツーの
人を理解するのは時間がかかるが、飽きられることもないのである
引用元:報知新聞
http://www.hochi.co.jp/html/column/geinou/2005/1201.htm