◇中国、ネパールに軍事支援 主導権めぐりインド牽制
【北京=野口東秀】中国がチベット自治区に接するネパールへの軍事支援に乗り出していることがわかった。
西側軍事筋が明らかにした。今年二月、ネパール国王の強権発動にインドが反発、
武器供与を見合わせた間隙(かんげき)をついた形だ。軍事支援の背景には、
周辺地域での主導権をめぐり争うインドを牽制(けんせい)し、
チベット亡命政府のネパールでの影響力を薄める狙いがあるとみられる。
中国はネパール国王の強権発動後、装甲車五台や自動小銃を提供したほか、ネパールに対し
航空機を含めた約千二百四十万ドルの経済援助の供与で合意した。「援助の使い道は
ネパールが決めるもので、事実上、軍事的意味がある」(専門家)とされる。さらに十月下旬には、
ネパールのタパ陸軍司令官が訪中、中国から約百万ドルの武器支援の約束を取り付けたという。
中国のネパールに対する軍事支援は、ギャネンドラ国王が今年二月、首相と全閣僚を解任し、
政治家や民主化運動家の拘束や報道管制措置をとったことで米国やインドなどが
制裁的意味を込めて軍事援助を停止した情勢を踏まえたものだ。
米国は主要な援助のライフル銃三千五百丁の提供を中断、ネパール軍・警察にヘリコプターや
機関銃などの支援を続けてきたインドも提供を一時凍結。その間隙をつく中国の手法を
「インドは深刻に受け止めている」(同筋)という。
中国にとりチベット自治区とインド双方に隣接するネパールとの関係強化は、ネパールを
自国の影響下にとらえるインドへの牽制となる。中国とインドは経済関係で
連携を深めながらも、周辺地域での主導権をめぐりつばぜり合いを演じているのが実情だ。
中国は今月中旬に開かれる東アジア首脳会議で協議される「東アジア共同体」への
インドの参加を渋っているほか、インドとカシミール地方の領有権をめぐり
対立するパキスタンには相変わらず軍事支援を続けている。
ネパールには約三万人のチベット難民がいるとされるが、中国には、ネパールへの発言力を高め、
チベット仏教の最高指導者ダライ・ラマの影響力をそぐ狙いもあるようだ。
ネパールが“中国カード”を使ってインドを牽制したとの見方もあり、
中国とネパールの思惑が一致した側面もあるようだ。
ソース:goo
http://news.goo.ne.jp/news/sankei/kokusai/20051205/m20051205007.html ソース元:産経新聞
http://www.sankei.co.jp/