◇人気の函館スルメイカ、生きたまま首都圏へ 官民で開発
生きた状態のまま長くは運べないスルメイカを、北海道・函館から、「活イカ」や「活締め」で
首都圏へ出荷する方法が開発されつつある。活締め技術は確立し、生きたまま運ぶ活イカも、
来夏には商品化されそうだ。ポイントは、動きの激しいスルメイカをどうおとなしくさせるか、だった。
スルメイカは九州付近から餌を追い、北上。津軽海峡周辺では初夏からとれ、函館では
プリプリの歯ごたえで観光客の人気も高い。「その鮮度で首都圏へ」と、函館市にある
北海道立工業技術センターを中心に、北海道大水産学部や地元水産会社、
大手宅配会社が協力して研究に取り組んだ。
タイや九州産のイカなどでも活魚輸送や活締めのものはあるが、生きたスルメイカを
遠くへ運ぶのは難しい。外洋回遊性で運動や呼吸量が多く、かみ合ったり墨を吐いたりして、
水質も悪化して長生きできない。
「水を運ぶ」というほど大量の水が必要で、水1トンで、他の魚の半分以下の
20〜30キロ(100〜150ぱい程度)しか運べない。専用トラックで
4〜5時間の札幌まで運ぶのがせいぜいだった。
グループは、冷蔵宅配便向けに、ビニールパックに1ぱいずつ入れる方法を試した。
水温を5度に下げるとおとなしくなり、pH緩衝剤で水質悪化も抑えられることがわかった。
最高56時間、生かすことができた。
同センターの吉野博之機械電子技術科長は「朝取れたイカを、その日のうちに東京の料理屋や
小売店に並べたい」。輸送試験も続け、1〜2年で商品化を目指す。
一方、活締めは北大水産学部の協力で、頭に近い部位に刃物を入れて瞬間的に
神経系を壊すことに成功。個体は死ぬが鮮度は落ちず、低温の海水に入れると
24〜36時間、鮮度が保てる。締める部位と酸素濃度の工夫で特許を出願中だ。
イカの生態に詳しい北大水産学部の桜井泰憲教授は「旬のスルメイカを、
生きのいいまま出荷できる。市場価値は高い」と期待する。
画像
生きたままパック詰めされたスルメイカの「活イカ」
http://www.asahi.com/business/update/1203/image/TKY200512030205.jpg ソース(2005年12月04日 朝日新聞)
http://www.asahi.com/business/update/1204/004.html