大学の研究所などで、使われずに放置されてきた古い核燃料物質が見つかる例が今年になって
相次いでいる。
回収する仕組みがないため、いずれも、学内などで厳重保管を継続するという事態になっているが、
関係者からは「個別に管理していると、事故や火災が心配」という声が上がっている。
核燃料物質の相次ぐ発見は、文部科学省が今年2月に、放射性同位元素(RI)の管理状況を再点検
するよう、全国の約4700の大学や企業に求めたのが発端。同省に未届けのRIの存在が約90件確認
されただけでなく、ウランなどの核燃料物質の存在も10件以上明らかになった。ほとんどが実験の試
薬などとして使われた残りだという。
放射性物質については、コバルトなどのRIが見つかった場合には、日本アイソトープ協会が受け皿と
なって回収することになっているが、原子炉等規制法の適用を受ける核燃料物質については、所有者が
同法に基づく使用許可を得た上で管理しなければならない。このため、許可を受けていない大学などで
想定外の核燃料物質が見つかった場合は、同法に基づく使用許可を新たに得る必要がある。
しかも、許可施設には管理義務が生じるため、天然ウランやトリウムが見つかった大阪市立大学では、
放射線が外部に漏れない保管場所を新設。使わなくなった口腔(こうくう)がん治療用の放射線発生装
置に組み込まれていた劣化ウラン80キロ分について、文科省の指示で再点検が始まる前に自主的に
届け出た奥羽大学も学内の一室を保管庫に充てている。
引用元
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20051114i307.htm