経営破たんした第三セクター「日韓高速船」の債務処理に
山口県下関市が多額の補助金を支出したのは違法として、
市民が当時の市長に補助金全額の八億四千五百万円を市に支払うよう求めた
訴訟の上告審判決で、最高裁第一小法廷(才口千晴裁判長)は十日、
賠償を命じた一、二審判決を破棄、市民側の請求を棄却した。
市民側の逆転敗訴が確定した。
第一小法廷の多数意見は、市が民間企業に「迷惑を掛けない」と説明して
連帯保証を依頼した経緯に触れ「市の事業とのかかわりや市議会で
支出が可決されたことなども踏まえると、支出が公益上必要とした市長の判断に
裁量権の逸脱があったとはいえない」とした。
裁判長の才口裁判官は、金融機関への債務を肩代わりした三億八千万円について
「無益な補助金を避け、支出を最小限にとどめる義務を怠った」と反対意見を述べ
「支出は違法」と指摘した。
判決などによると、日韓高速船は下関市や民間企業などの出資で設立。
一九九一年七月に下関―韓国・釜山で就航したが、
経営が行き詰まり翌年十二月に運休し、九六年四月に破産した。
一審山口地裁は補助金支出に公益性を認めず、
亀田博前市長に全額賠償を命じた。二審広島高裁は金融機関への返済に、
他の連帯保証人の負担を求めなかったことについて裁量権の逸脱があった、
と認めた上で賠償額を三億四千百万円に減額。前市長が上告していた。
西日本新聞
http://www.nishinippon.co.jp/media/news/news-today/morning_news001.html