殺人などの重大事件を起こした16歳以上の少年は原則として、家裁が検察官送致
(逆送)するとした2001年4月の改正少年法施行後も、被害者が親族の場合は9
割が保護処分となり、逆送は1割にとどまっていたことが、8日の閣議に報告された
法務省の05年版犯罪白書で分かった。
これとは別に、加害者が複数の事件では主導した少年のほぼ全員が逆送されており、
態様によって明確な差があることが判明。法改正は少年事件の凶悪化を理由に、成人
と同様の刑事裁判を受けさせる“厳罰化”狙いだったが、白書は「家裁が個々の要因を
慎重に考慮していることがうかがえる」と分析している。
今年の白書は少年非行を特集。法務総合研究所が、01年4月―04年3月に鑑別
所に収容された少年のうち「原則逆送」対象の236人を調査した。
非行事実別の内訳は殺人44人、強盗致死25人、傷害致死145人、危険運転致
死20人、保護責任者遺棄致死2人だった。
交通事件である危険運転致死を除く216人を、親族が被害者の「家族型」(25
人)、共犯者がいる「集団型」(179人)、それ以外の「単独型」(12人)の三
つに分類。
「家族型」は88%が保護処分で逆送は12%。「集団型」では主導者は97%が
逆送されていたが、共犯者主導の場合は49%にとどまった。「単独型」の逆送は6
7%だった。
全体の逆送率は57%で、非行事実別では危険運転致死が90%と最も高く、殺人、
強盗致死、傷害致死は54―60%。保護責任者遺棄致死はすべて保護処分だった。
■ソース
http://www.sankei.co.jp/news/051108/sha029.htm