BSE(牛海綿状脳症)の発生で輸入が禁止されている米国産とカナダ産牛肉の安
全性を審議している食品安全委員会のプリオン専門調査会(吉川泰弘座長)は24日、
生後20カ月以下の若齢牛に限定し、脳やせき髄などの特定危険部位を除去するなど
の条件が順守されれば、日本産牛肉と比べ「リスクの差は非常に小さい」とする答申
の原案を提示した。最終的な結論は次回以降に出されるが、政府は、これまでの審議
の内容から輸入再開の根拠にできる答申が出る可能性が高いとみており、早ければ年
内にも輸入を再開する方針だ。
24日の会合では、特定危険部位の除去について「米国・カナダの食肉処理場での
実態は不明」として、輸入再開に慎重な意見も出た。しかし、終了後、吉川座長は
「(委員の間で)大きな評価のズレは感じていない」と述べた。
政府は、食品安全委の答申で、米国・カナダ産牛肉の安全性について、国産牛肉と
の「同等性」に直接言及していなくても、「差が非常に小さい」とする結論なら輸入
再開は可能だと判断するとみられる。同調査会が答申案をまとめ、食品安全委が4週
間程度の意見募集を経て正式に答申を出せば、直ちに輸入再開手続きに入る見込みだ。
米国とカナダは、日本向けの牛肉の輸出条件として、
(1)脳など特定危険部位の除去
(2)生後20カ月以下であることの証明
が義務づけられると表明している。これを受けて、対日輸入が再開された場合、日本
政府は米国とカナダに専門家を派遣し、条件が守られているかどうかを現場で査察す
る方針だ。
プリオン専門調査会の原案でも、米国・カナダが対日輸出条件を順守することが重
要だと強調。そのうえで、輸入再開されても、順守が不十分なら再び輸入を停止すべ
きだと指摘している。
◇最終盤の審議 委員に異論も
「米国・カナダが輸出条件を守れば、両国の牛肉と国産牛肉のリスク(危険性)の
差は非常に小さい」とする座長原案には、座長代理以下、複数の委員から異論が出た。
今年5月からこれまで9回の審議を経て、同調査会は最終盤を迎えているが、この日
は肝心の結論部分についてのやり取りは10分程度しか行われず、今後、議論は紛糾
する可能性も残る。
金子清俊座長代理(東京医科大教授)は「リスクが同等かどうかは不明である、と
の表現が適切ではないか」との文書を、調査会で配った。さらに席上で「(政府から)
両国の牛肉と国産牛肉のリスクは同等か、と諮問を受けているが座長案には明確な回
答がない」と指摘。「国民に分かりやすくするため、同等であるかないか、はっきり
記すべきだ」と訴えた。
調査会に欠席した横山隆委員(動物衛生研究所プリオン病研究センター研究チーム
長)も文書で「(輸入対象となる)20カ月以下の牛の汚染は米国・カナダの方が日
本より数倍高い、とこれまでの審議で分かった」と指摘。「リスクの差をどのように
判定したのか(報告書で)説明する必要がある」と座長案を批判した。
やはり欠席の甲斐知恵子委員・東大医科学研究所教授)も「(脳など特定危険部位
の除去などの)規制が完全に行われるかどうか具体策の明示が不十分だ」と理由を挙
げ「輸入解禁は慎重に、との提言を、調査会として行うべきだ」との文書を出した。
■ソース
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20051024-00000121-mai-soci ■関連スレ
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http://live14.2ch.net/test/read.cgi/wildplus/1130150765/l50