毒性が強い鳥インフルエンザウイルスH5N1型が世界的に流行する恐れが強まっ
てきた。これまでアジアにとどまっていた鳥への感染地域が欧州へと拡大したためだ。
大西洋の対岸にある米国では、ウイルスの流入を“水際”で阻止する態勢の検討に入っ
ている。全世界的な対応の必要性が叫ばれる中で、アジア地域では、対策が後手に回
っており、鳥から人への感染により今年初めて死者が出た。仮にウイルスが人から人
に感染するという事態となれば、爆発的な流行も予測され、その影響は計り知れない。
≪米 “水際阻止”へ 旅客機運航停止 地域隔離も≫
欧州にまで広がった鳥インフルエンザの流入を防ぐため、米政府は空港など“水際”
での検疫強化とともに、鳥インフルエンザが発生した場合の旅客機の運航停止や米軍
による流行地域の隔離などの具体的な事例を想定した対応の検討を始めた。また、感
染拡大を最小限に抑える対策として、抗ウイルス剤「タミフル」の二千万人分の在庫
確保を早急に目指す方針だ。
米政府は今月中に鳥インフルエンザの国家対策プランのとりまとめを急いでいる。
また、発生初期の封じこめ対策を重視し、二〇〇三年の新型肺炎(SARS)発生時
に、中国が世界保健機関(WHO)への報告を怠り、感染を拡大させたことを教訓に、
各国に対して鳥インフルエンザの流行の兆しがあった場合、WHOなどを通じて早期
に情報を共有するよう要請している。
また、スイス製薬大手ロシュの幹部と対策を協議したチャールズ・シューマー米上
院議員は二十日、記者会見し、同社が特許を持つ「タミフル」の製造を、米バール・
ファーマスーティカルズ、米マイラン・ラボラトリーズなど四社にライセンス提供す
ることで合意したことを明らかにした。
≪仏伊 鳥肉消費落ち込む≫
鳥インフルエンザの感染が広がり、欧州連合(EU)加盟国に衝撃が走っている。
鶏肉などの消費が大幅に落ち込みを見せているほか、抗ウイルス剤「タミフル」の不
足を懸念する声も出始めている。
毒性の強いH5N1型ウイルスは十月以降、トルコやルーマニアなどのほか、ロシ
アのモスクワ南郊の鳥からも相次いで検出された。二十一日には、クロアチアの農業
省スポークスマンが、同国東部の池で死んだ六羽の野生の白鳥からウイルスが検出さ
れたと発表。英国の研究機関がH5N1型かどうか検査している。
「パニック」「全土がヒステリーに包まれる」−。ブルガリアの日刊紙は、自国民
が、今月中旬に隣国のトルコで感染が確認されて受けた衝撃をこんな大見出しで伝え
た。
EU各国は感染地域からの家禽の移動を禁止するなどしたものの、鳥インフルエン
ザは食品産業や農業に容赦なく影響を及ぼしている。
鶏肉や七面鳥などの肉を年間百十万トン(約三十三億ユーロ)生産するイタリアで
は、国内での消費量が約30%も低下した。
フランスでは鶏肉の消費量が約20%落ち込み、ドビルパン首相が「私はチキンを
食べた」と身をもって安全性を宣伝するなど、需要減少に歯止めをかけるのに躍起と
なっている。世界三大珍味の一つ、フォアグラ(ガチョウやカモの肝臓)の需要も低
下し、輸出国のブルガリアやハンガリーの農家に打撃を与えている。
※全文はソースで…
■ソース
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20051022-00000027-san-int ■関連スレ
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