酒を飲んで吐血し、香川県善通寺市の国立善通寺病院(現・独立行政法人
国立病院機構善通寺病院)で治療を受け帰宅直後に死亡した同県大野原町の
四国学院大4年、谷和行さん(22)=いずれも当時=の両親が、適切な処置を
怠ったのが死亡の原因として、独立行政法人国立病院機構と担当医に約9000万円の
損害賠償を求めた訴訟の判決が28日、高松地裁であった。豊永多門裁判長は
訴えをほぼ全面的に認め、約8800万円の支払いを命じた。
判決などによると、谷さんは98年11月21日夜、善通寺市の飲食店で友人と
飲酒して吐血。同病院で軽度のアルコール中毒と診断され、点滴など治療を受けた。
治療後も吐血したため父親が再度診察を頼んだが「止血剤を打ったので心配ない」と
断られ帰宅。直後に意識がなくなり、救急車で別の病院に搬送され、翌22日未明に
急性肺水腫で死亡。急性アルコール中毒が影響したと診断された。
病院側は「点滴を2本打つなど適切な措置を取っており、肺水腫は病院から自宅に
到着するまでの間に発症した」などと反論していたが、判決は「担当医は診察上の
注意義務を怠り、症状に応じた処置をしていれば死亡しない可能性は十分あった」と判断した。
判決後、谷さんの父親、得太郎さん(55)は「長い時間がかかったが、主張が認められ
うれしい。息子がいないのはむなしいが、ようやく納骨できる。病院側は判決を
真摯(しんし)に受け止め、救急医療の改善に努めてほしい」と話した。
田村禎通・同病院長は「主張を理解してもらえず残念。判決内容を十分検討し、今後の方針を
決めたい」としている。
>> MSN-Mainichi 2005/09/28[20:00] <<
http://www.mainichi-msn.co.jp/science/medical/news/20050929k0000m040070000c.html