大分香りの森博物館(大分市荷尾杵)の売却について、県は十二日、最終判断を示した。売却先に内定した学校法人・平松学園(同市)は「念願のセミナーハウスができる」と喜ぶ。
一方、「香りの文化」の存続を訴える市民グループは「売却は博物館機能の存続を第一に」と反発。
住民監査請求をした、おおいた市民オンブズマンは「監査委員の判断を待つべきではないか」と疑問を投げ掛けた。
平松学園には同日、県から「知事の決裁が下りた」と連絡があった。同学園には自前のセミナーハウスがなく、「自然に恵まれた郊外に教育施設ができることを楽しみにしていた」という。
同学園の構想によると、まず三十―四十人程度が利用できるよう館内を改造して、宿泊、入浴施設を設置。
約三千三百人の生徒や学生が交代で、新入オリエンテーションや学力向上合宿、クラブやゼミの合宿などで利用する。
佐藤欣司事務局長は「いきなり全面改造をしなくても十分に使える。学びと体験、喜びの学習館にしたい」と声を弾ませた。
一方、市民グループ「ナショナル・トラスト大分香りの文化の会」の西村摩耶会長らは落胆の表情。「博物館として残す方法もあったはずで、もっと県民で議論すべきではないか」と高野尚子副会長。
「九月定例県議会に、博物館機能の存続や、県民が納得できる説明を求める請願を出したい」と続けた。
おおいた市民オンブズマンの河野聡理事長は「売却は既定方針で、住民監査請求により中止することはないのかもしれないが、監査委員の判断を尊重すべき。
県民の間に(売却の是非について)議論が起きるのを抑えようとする対応ではないか。問題提起を正面から受け止めてもらいたい」と話した。
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