学力低下や問題行動の続発など、公立学校の教育の質に対して保護
者らの関心がかつてなく高まっている実情を踏まえ、文部科学省は
新たに「学校評価ガイドライン」をつくることを決めた。国の基準
に沿って地域や学校が教育内容の「点検」を実施することになる。
学校の閉鎖性に風穴が開くことが期待される一方、一律のガイドラ
インが設けられることで多様な教育に影響を与える懸念もありそう
だ。
文科省は中央教育審議会の提言などを受け、学校単位で学級編成を
できるようにする方針を固めるなど、地方自治体や学校の裁量を拡
大する制度改正に着手している。権限の移譲に伴い、教育現場が責
任を持って自己改善する仕組みの整備が必要だとして「学校評価ガ
イドライン」を策定する方針を検討していた。
学校評価は、02年度から施行された小学校設置基準などに基づい
て、自己評価の実施と結果の公表が制度化された。03年度時点で、
学校が自ら行う自己評価は公立学校の95%が実施。地域住民や保
護者らによる外部評価も実施率が64%まで達した。ただ、これら
は評価項目にばらつきがある。
新たに策定するガイドラインには教育課程や生徒指導、体力などの
項目を盛り込むことを予定している。同一尺度で学校の教育水準を
比較することが可能になるが、文科省は「ガイドラインを強制する
つもりはない」としている。ただ、自己評価については、いまは公
表が努力義務になっているが、いずれ実施義務に改める方針だ。
ガイドラインをつくる一方、文科省は将来的に、大学のように第三
者機関による学校評価も実現できるかどうかを探るため、来年度か
ら実践研究を始める。
また、教育の質保証を図るため、学校評価システムと07年度から
の本格実施を目指す全国学力調査との一体的な分析が可能になるよ
う、省内に専門の「教育水準部」を新設する方向で検討を進めてい
る。
http://www.asahi.com/life/update/0830/001.html