発売前から注目の的だったソニーの携帯ゲーム機「PSP(プレイ
ステーション・ポータブル)」。発売半年で、無料の映像・音楽の
プレーヤーになったり、 約3000種のファミコンソフトを遊べる
裏ワザが次々と発見されている。ところが、タダで遊べる裏ワザが
使えるのは“旧型機種”だけ。そのせいで、売れる のは中古のみで、
新品はさっぱりというピンチにさらされている。業績不振のソニー
に、さらなる足かせとなりかねない裏ワザ事情を分析した。
昨年末に発売されたPSP(本体価格2万790円)。同時期に任
天堂からもニンテンドーDS(同1万5000円)が発売され、携
帯ゲーム機市場で両社は激しくしのぎを削っている。
そんな中、春先ごろからDSを追撃するPSPの足を引っ張るよう
な裏ツールが開発された。
PSPの中でも約20年前に発売され大ヒットした、任天堂のファ
ミコンソフトを動かせる「エミュレータ」と呼ばれる不正プログラ
ムを、何者かが製作し、ネット上で無料配布し始めたのだ。
前出のライターは「遊べるファミコンソフトは約3000本。ファ
ミコン時代のレトロゲームはPSPの購買層にあたる20−30代
前半に人気がある。PSPの純正ソフトの売り上げに影響が出るの
では」と推測する。
さらに現在は“開発”が進み、ゲームボーイやスーパーファミコン、
セガのレトロゲームなど、多種多様のゲームソフトが簡単に無料で
プレーできる状況となっている。
この裏ワザ人気でPSP本体が売れそうにみえるが実は正反対。
「新品の売り上げには一切、貢献しない」と解説するのは、東京
・秋葉原のゲーム店店員。
「3月下旬、ソニーはPSPの型を新しくした。新しい型だと、エ
ミュレータは動かない。発売初期のPSPは『初期不良が多い』と
不評だったが、今では 『ファミコンができる』と品薄で、中古品で
も新品と同じ、もしくはそれ以上の値がつく」と、売れるのは初期
の中古品ばかりだというから驚きだ。
このほか、パソコンで音楽CDや映画、アニメのDVDをコピーし、
PSPに移し替えてポータブルプレーヤーにする裏ワザも明らかに
なっている。
裏技ブームに便乗して書店のゲーム関連本コーナーでは、素人でも
分かるよう図解されたPSPの裏ワザ解説本が多数並ぶ始末。
「裏ワザのもとになるプログラムはパソコンで作られ、ネットで広
まる。ソニーはパソコンと互換性を持たせたことが裏目に出た」と
はITに詳しいライター。
この事態にPSPの発売元、ソニー・コンピュータエンタテインメ
ントは「システムのソフトを更新してセキュリティーを強化してい
る」とし、「私たちの出 すソフトがコピーされるのであれば問題だ
が、出荷台数も順調に伸びており、現状に問題はない」(広報部)
と動じていない様子だが、さりげなくバージョンアップを呼びかけ
るテレビCMを流している。
http://www.zakzak.co.jp/top/2005_08/t2005082521.html