貝や海藻の付着を防止するために船底塗料などに使われている毒性の強い重金
属に代わる防汚剤の開発を目指す北大などの共同研究に、文部科学省の外郭団体
「科学技術振興機構」が今年度から3年間で総額1億2400万円の研究費を拠出す
ることが決まった。
環境に無害な天然の忌避物質を使った新素材の開発が目標で、実用化すれば海
洋環境の飛躍的な改善につながる。
日本では、97年に使用が禁止されたトリブチルスズ(TBT)などの有機スズ化合物
の代替品として現在は銅や亜鉛を使った防汚剤が使われているが、これらも重金属
のため毒性が懸念されている。
研究グループは、ウニが弱った海藻に好んで群がり、元気な海藻に付着しないこと
に着目し、元気な海藻には自らを防御する忌避物質が働いていると推定。
船底に付くフジツボなどが嫌がる忌避物質を合成すれば、無害の防汚剤を開発でき
るとみて、同機構の委託事業に応募していた。
海藻由来の忌避物質の存在は既に突き止めており、3年かけて安全性評価、防汚
塗膜の実用化、市場開発などをした上で、研究終了1年後をめどに企業化をめざす。
実現すれば、重金属の海への拡散防止に加え、船舶の燃費向上や炭酸ガス排出
削減効果も得られる。
漁網や発電所の給配水管などの防汚剤など用途は広い。
開発マネジメントを担当する大地みらい信用金庫の倉又一成・業務統括本部調査
役は「地域に還元できるベンチャーを目指したい」と話した。
有機スズ化合物は極めて微量で巻き貝をオス化させる環境ホルモンを含み、日本
では97年から船底塗料などとしての使用が禁止された。
国際海事機関(IMO)は有機スズ化合物の使用を08年で禁止する船底防汚塗料国
際条約を採択しており、代替防汚剤の開発は国際的に待たれている。
※Yahoo!-毎日
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050727-00000037-mailo-hok